今回は、知的創造システム専攻の第1期に開講している「特許情報特論」についてご紹介します。
いまや世界中のあらゆる種類の技術情報は、特許情報という形で世界中のデータベースの中に蓄積されています。企業間の厳しい競争を勝ち抜くために、こうした情報を使いこなし、的確な分析を行うことは極めて重要です。
そして、多くの国の特許庁や国際機関は、インターネットを介した検索サービスを無料で提供しています。きめ細かい情報サービスを有料で提供している民間事業者も数多く存在します。
しかし、情報を得ることと、それを活用することは全く別の話。予備知識もなくこれらの情報を有効かつ的確に活用することは非常に困難です。新興国などの調査環境は日進月歩の状況にあり、これらの動向に関しても把握が必要です。
そこで、本講義では特許情報に関する基礎を体系的に学び、その上で、各国特許庁による無料データベースや民間事業者の有料データベースの構成やその内容、および利用方法について学習します。さらには、パテントマップなど目的に応じた加工方法についても理解を深め、特許情報を有効に利用できることを目指します。
担当教員は、森藤淳志 客員教授。現職はなんと特許庁の総務部普及支援課特許情報企画室室長で、日本の公的特許データベースの企画・運用を実際に手がけておられる、まさに第一線の実務家です。
本講義のハイライトは、中盤に用意されている2回のプラクティカム。ここでは受講生一人ひとりがテーマを設定した上で実際の検索およびレポート作成、プレゼンテーションに取り組みます。
取材日はちょうど1回目のプラクティカムの発表日。「初めてで難しかった」「まだもっと修正したい」「もっとこうすれば良かった」などの声が院生の皆さんから聞かれました。皆さん、思ったより苦戦されたようです。
しかし、ここで先生が一言。「作ってみて、うまく行かなかったら改良していけばいいのです。締め切りをもって作ることがまず重要です」。確かに、一回発表したことで、院生の皆さんのそれぞれ課題や改善ポイントが明確になり、2回目はきっとより良いプレゼンテーションをしてくれると感じました。
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