『2012年1月』アーカイブ

ビジネスアーキテクト専攻の山田英二教授が担当する「グローバルビジネス特論」。引き続き、今回もゲスト講師を招いての授業をレポートします。

今週のテーマは「中国ビジネス」。

ゲスト講師は、GML上海で総経理を務める江口征男氏。上海にて日系企業の中国事業拡大支援を行う江口氏は、ブーズアンドカンパニーやアクセンチュアなどのコンサルティング会社や子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルでの勤務を経て、5年前に中国にて起業されました。

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「中国では、日本と同じやり方では勝てない」が「中国人の考え方、お金の使い方、意思決定の仕方などを学ぶことで、中国人と心理戦で互角に渡り合い、ビジネスに勝利することができる」という江口氏。

その豊富な経験に基づき、商習慣やビジネス環境が大きく異なる中国市場でビジネスを行うポイントについて、ぐぐっと凝縮してお話しいただきました。

以下、いくつかポイントを抜粋しますと...

◆儲かっている(=良い事業を展開している)ことを示すために、営業マンは客先にメルセデスベンツで訪問する。レンタカーを利用することも。

◆「商品力」ではなく「ブランド力」が重要視される市場なので、広告への投資やSNSでの口コミ拡大などを徹底的にやるのが大事。日本企業は十分でないことが多い。

◆取引先を開拓するために大切なことは実績と結果。ある商品を全国の百貨店に卸したいと思ったら、初戦が肝心。広告予算を使って、時には自分で買ってでも目立つヒットを出すことで、中国全土のバイヤーから注目される。

◆日系企業の多くが「売掛金回収」で苦労。「とりあえず払わないでおく」「資産を別会社に移転し計画倒産」「契約書が偽物の会社印で押印されている」など日本ではありえないようなことが起きるので、取引先の小さな変化を感じることが重要。

◆中国人スタッフに気持ち良く仕事をしてもらうには2つ。1つは、ちゃんとフェアな額の報酬を払うこと、もう1つは社員の奥さんを誘ってご飯を食べに行くなど、身内として扱うこと。なお、要職は能力が多少低くても、絶対裏切らない人がいい。

◆日本企業がうまく行っていないのは、考え過ぎてしまう。成長市場である中国では「これ売れるかな?」という商品でもそこそこ売れるのに、日本企業は開発した後、数ヶ月市場調査をして絞り込んでしまうのが却ってよくない。

多くの日本企業を支援し、また、ご自身も「中国人の共同経営者にお金と印鑑を持って逃げられた」経験をお持ちの江口氏だけに、豊富な実例を交えながら、お話しいただけました。

最後に、中国は確かにこうしたリスクはあるが、やはり大きなリターンが期待できる成長市場であり、逆に言えばリスクを低減さえすれば非常に魅力的な市場である、ということを強調されていました。

また、江口氏はダイヤモンド・オンラインにて「日本人が知らないリアル中国ビジネス」という連載コラムを書かれています。中国ビジネスについて、さらに詳しく知りたい方は、是非こちらもご確認ください。

4回シリーズでレポート予定の「グローバルビジネス特論」。次回はBoPビジネスをテーマとした講義になります。お楽しみに!

2011年度より新たに開講している「グローバルビジネス特論」。昨年末もレポートを掲載しましたが、後半4コマは、様々な分野の第一線で活躍するビジネスプロフェッショナルをゲスト講師として招いての講義となります。

今回のテーマは、事業を通して社会的課題の解決に取り組んでいく「ソーシャルビジネス」、新興国や途上国の低所得者層をターゲットに商品やサービスを提供する「BoPビジネス」、自らの専門性やプロフェッショナルスキルを無償(ボランティア)で提供する「プロボノ」の3つ。

自らのスキルや時間を活用して、時には事業そのもので社会課題の解決に取り組んでいく。こうした事業や仕事のあり方は日本でも徐々に広まりつつありますが、実はグローバルなビジネスシーンでも大きな流れを生み出しつつあります。

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今回のゲスト講師は諸橋峰雄さん(現プライスウォーターハウスクーパースPRTMマネジメントコンサルタンツ シニアマネージャー)。諸橋さんは、途上国向けに革新的な技術を届けるマーケットプレイス(仲介市場)を運営するNGOであるコペルニクにて、日本支部の代表をプロボノとして務められた経験をお持ちです。

現在もコンサルティング会社に勤めながら、東北の復興に向けたBLUE FOR TOHOKUプロジェクトの立ち上げに携わっているなど、今回のテーマにふさわしい、フロントランナーのお一人です。

はじめに、コペルニクのビジネスモデルや実際に途上国に展開しているテクノロジー、スタートアップのきっかけについて簡単に説明していただきました。

国連で途上国の開発課題に長年携わってきたコペルニク創業者の中村氏が「貧困という大きな地球上の問題を、閉鎖的な開発業界を超えた世界的問題解決ができないか?」「途上国向けテクノロジー分野で様々なイノベーションが起こっている。こういったダイナミズムを、真っ向から開発問題解決に取り入れたい」といった考えを実現する方法として、大きな組織を飛び出し、自ら事業を立ち上げられたという話は大変印象的でした。

その後、諸橋さん自身が立ち上げから参画されたコペルニク日本支部での取り組みについてお話しいただきました。フルタイム職員ではなく、無償で自らのプロフェッショナルスキルを提供するプロボノとして関わられている諸橋さんに対し「なぜ、そのような強い情熱をお持ちなのか?」という質問が受講生からありました。

この質問に対しては「多くを与えられている人は多くを期待されている。多くの贈り物をもらった。他の人たちのために精いっぱいそれを生かすのよ」という米アキュメン・ファンド(非営利組織向けの支援組織)の代表ジャクリーン・ノヴォグラッツ氏の言葉の影響や、また「会社でやったことがプロボノで活かされるし、プロボノでやったことが会社でも活かされるということはある。お金ではなくとも、得るものは多い」というプロボノの実利面について、お話しいただきました。

最後に山田先生が「諸橋さんのように、外国の様々な問題を自分たちの問題として捉えることが、グローバルビジネスパーソンに必要ではないか。短期的には関わりはなくとも、長期的には間違いなく関わることになる。全くの功利主義だけで海外に行くのではなく、相手国の課題や背景を共有していくことが、日本企業が支持されるためには必要だと思う」とまとめのコメントをされました。

「グローバルビジネス」を行う時に「ソーシャルビジネス」の考え方を持つことで、新しい事業機会も得られる。確かに、そういった視点を諸橋さんの話からいただいたように思いました。

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