『2013年2月』アーカイブ

知的創造システム専攻の公聴会が2月15日(金)~19日(火)4日間の日程で行われました。今回も3名の発表をレポートしたいと思います。どれも1年以上の時間をかけて担当教員そしてゼミの仲間たちと一緒になって作り上げてきたプレゼンです。各発表前は心地良い緊張感がひしひしと伝わってきました。

まず初めに、露木美幸さん。大学教員として活躍する傍ら、様々な学会やメディアでもご自身の研究を発表されておられます。「技術志向型企業のグローバル知財リスクマネジメント」についてプレゼンを行いました。日本・米国・欧州(ドイツ)の特許出願・特許権侵害の動向を細かく分析しながら、リスクマネジメントの考え方が、各企業の知財戦略に有効に働くことを示しました。

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続いて、神田裕之さんです。30年近く北米の通信端末会社のエンジニアとしてご活躍され、技術部門をマネジメントする力や知識を得たいとの思いから本学への入学を決意しました。研究テーマは「携帯電話端末関連企業の事業展開における知的財産戦略の研究」です。アップル社iPhoneに対するグーグル社Androidのオープン戦略について、各企業の目的・戦略が相違している中、弱点をどのように克服し、事業を継続していくかについて考察を行いました。

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最後にご紹介するのがジョン・チョルファンさん。韓国の弁理士として活躍しながら、1年半前から日本に留学しています。発表のテーマは「自動車産業における製品アーキテクチャの変化と戦略―次世代自動車を中心にして―」です。技術のパラダイム変化に適応して競争力を高めるために、自動車産業が立てている次世代自動車戦略について、燃料電池車(垂直統合モデル)と電気自動車(水平分業モデル)を比較しながら、様々な仮説を検証し、その未来を予測しました。 

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公聴会には同期生はもちろん、多くの修了生や在学生も出席し、仲間のプレゼンに熱い眼差しを向けていました。終了後は、皆さん大きなプレッシャーから解放され、担当教員も交えて“打ち上げ”に向かったのは言うまでもありません。皆さまお疲れ様でした。今後、本大学院で学んだ知識や人脈を活かして、さらに活躍されることを期待しています。

先週2月15日(金)~16日(土)2日間に亘って、ビジネスアーキテクト専攻の公聴会が開催されました。今回のブログでは3名の発表の様子をレポートします。

まずは、古川博教さん。「ソフトウェア開発におけるコミュニケーションの良否が納期遅延に与える影響に関するネットワーク分析」というテーマで修士研究を進めました。伝達コミュニケーションと共有コミュニケーションの違いを分析し、500社近い企業へのアンケート調査を実施しました。その研究成果として、コミュニケーション密度を指標化し、分析グラフとして可視化することに成功しました。教員からも「このままパッケージ化してコンサルティング会社に売れるんじゃないか」との意見もあり素晴らしいプレゼンテーションでした。

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続いて、メディア&エンタテインメントマネジメント研究を行った樋口夏子さん。金融機関でアナリストとして活躍する傍ら、1年での修了を目指しています。修士研究のテーマは「メディア&エンタテインメント企業における新しいビジネスモデル評価軸の研究」で、企業価値を高める要因として、収益性の他に、無形資産(顧客の共感体験・新しさに対する期待感)があることを明確に示しました。プレゼンの最後には「本研究で得た知見を日常業務に活かしていきたい」と目を輝かせていました。

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最後は、三宅立晃さん。世界的に有名なCRMサービス企業に勤務し、いつも世界中を飛び回っています。「クローズドSNSが組織のイノベーション力に与える影響についての研究~企業は社内SNSを導入してどのような効果を期待できるのか~」が修士研究のテーマです。実際にCRMツール内にチャット機能を組み込み、調査・研究を行い、新たなコミュニケーションを生み出しました。その結果、各々の行動が促され、最終的にイノベーティブな組織へと繋がっていく道筋を明らかにしました。

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その他のプレゼンもご自身のビジネスや将来のキャリアプランに即した大変実践的なものばかりで、発表者の熱いプレゼンを通じて修士研究の喜びや苦しみが直に伝わってきました。この度、公聴会を終えた皆さま本当にお疲れ様でした。3月の修了式でまたお会いできるのを楽しみにしております。

新年を迎え最初のKIT虎ノ門サロンは「チェンジ!そしてブレイクスルー」と題し、1月21日(月)19:00より虎ノ門キャンパスにて開催されました。当日は午後から雪が降るという予想もありましたが、参加申込みされたほぼ全ての方々が来られ、熱気に満ちた会場となりました。金沢本校とのTV中継も行いながら、本学の学部生や教職員にもご覧いただきました。

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基調講演は、朝比奈一郎氏(青山社中株式会社CEO)より、日本の政治と今我々に求められるものについてお話しいただきました。昨年末政権が変わり、国民の政治に対する期待や不安も高まる中、朝比奈氏からは「実は消費税の問題や、社会保障の問題などは既に16年ほど前から言われ続けてきたものであり、改めて安倍首相が掲げた所信表明の内容も以前と文言は少し変わるが、内容は少しも変わっていない」という話がありました。これまで国民が政治に対して期待してきた本質の大部分は、まさにガバナンス改革を真に推進できる人材の登場であり、これは朝比奈氏ご自身の使命とも考えているとのことで、青山社中ではリーダー塾なども開催し、次世代リーダー育成にも力を入れておられます。

その後、5名の論客によるスペシャル・トークセッションが開催され、それぞれの立場から、今の日本の現状やこれからやるべきことなどご自身の夢も含めお話いただきました。

初めにNTTデータ経営研究所取締役の唐木氏より「グローバル社会の中で、コスト削減という名目の下、様々な事業のアウトソーシングが進み、厳しい環境下で何とか勝ち抜こうと試みているが、これは本質的にはどこかで息詰まる経営です。コスト競争ばかり言わないで、多少のコストは掛かろうとも、もっと夢のある議論をし、日本らしさを出せる取り組みを行っていきたい」との言葉がありました。

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リクルートワークス研究所主幹研究員の豊田氏からは「事業創造が出来る人材が育っていない」という話があり、企業組織が拡大するにつれ、本来多様化を求めるべきどころか、それらのチャンスがつぶされているとの話がありました。「イノベーションを起こすのは人であり、現代のコンプレックス社会の中において、より多様性を求めていく姿勢が重要である」というお話は企業のみならず、日本社会全体においても重要なテーマであると感じました。

続いて、ご登壇いただいた東洋経済新報社執行役員出版局長の山崎氏からは「昨年1年間で200冊以上の本を出版してきたが、その半分の本のタイトルには、グローバル人材やイノベーション、ガバナンスといったタイトルがついていた。しかしながらこれだけ出版しても全く日常の問題が解決しないというのは一体どういうことなのか」という話があり、会場から笑いとどよめきが起こりました。また、生物学者の話の中では、サルを使った実験の話がありましたが、今の日本はこの“サルの壁”ともいうべき、経験や体験もしていない状況にも関わらず、全く新しい行動を起こそうとしない。怖がって何も出来ない状態となっているという話があり、日本は今このような状態になっているとの分析がありました。

早稲田大学大学院教授の橋本氏からは、ご自身が現在取り組まれている蓄電池に関する研究など、これからの日本におけるイノベーションが期待される分野についてお話しいただきました。「イノベーションという言葉は、通産省時代(現経済産業省)から使われていたが、途中その言葉が消え、最近また復活した。この変化の激しい時代において、これまで電気と機械の知識があれば車は作れたが、今は様々な分野が複雑に絡み合う時代となり、これまでの産業構造ではイノベーションが起こりにくい状態になっている」という話がありました。

そして、最後にご登壇いただいた一橋大学大学院客員教授で、前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社代表取締役の土岐氏からは「決めること」という話があり、ご自身が以前、営業職からマネジメント職に変わったとき上司の方から言われたことが「今日から君の仕事は物事を決めることだ」という。決めることの重要性や大変さ、また決められる人物にはしっかりとした“ぶれない軸”が必要だという話は非常に説得力がありました。

今回の虎ノ門サロンは、それぞれの論客による大変密度の濃い、豪華なメンバーを揃えての開催となりました。最後に、KIT虎ノ門サロンコーディネーターの赤羽良剛氏より、今回のシンポジウムの狙いとして、なぜここまでフィールドの違う方々をお連れしたかという話があり「話を聞いてみると考え方や本質はみんな同じことを考えている」と総括をいただきました。

充実感に満ちたこの新春の虎ノ門サロンは、まだまだ聞いていたい名残惜しさも残しつつ大盛況の裡に終了しました。この場を借りて、今回の企画実行にご協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。

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