知的創造システム専攻では第1期に「知的財産政策特論」を開講しています。
実務家養成の社会人大学院で、なぜ政策の勉強を早い段階でするのか。それは、これから莫大な量の法律や実務知識を修得していくにあたって、実は早道だからです。
公法と私法、行政と司法、国内制度と国際制度が複雑に絡み合う知的財産の分野。どのような政策的意図に基づき、なぜそのような制度設計になっているのか。さらに、これらの制度が期待された役割を果たしているか、そうでなければどこに問題があるのか。
プロフェッショナルとして活躍していくにあたっては、政策面についても「センス」を磨いていくことが大きな武器となっていきます。
担当するのは小林徹客員教授。1982年に通商産業省(現・経済産業省)に入省。1988年から1990年まで特許庁総務課でペーパーレス法やサービスマーク法の立案に参画。2001年から2004年まで司法制度改革推進本部事務局参事官として、いわゆるADR法の立案や弁理士等隣接法律専門職種制度改革を担当してこられた、まさに制度設計側として豊富な経験をお持ちの政策のプロフェッショナルです。
講義内容はこちら。前半はレクチャー中心に、後半はディベートや演習を交えながら進めていきます。
第1回 授業の概要説明/知的財産政策を巡るプレーヤーと政策実現のプロセス
第2回 知的財産制度の俯瞰
第3回 特許・実用新案制度を巡る現状と課題
第4回 意匠・商標制度等を巡る現状と課題
第5回 知的財産制度を巡る国際問題
第6回 ディベート
第7回 知的財産政策の歴史
第8回 演習―今後の知的財産政策は何を目指すべきか
小林先生の講義の特徴のひとつが、具体的事例に基づく分かりやすい説明。制度をめぐる現状と課題について、豊富で説得力のあるデータやグラフを示しながら進んでいきます。
これまで多くの講義を取材してきましたが、「あの制度はこういう背景があったのか」「あの論点はこういう状況の中で問題になっているんだ」…など、腑に落ちる瞬間、そして更に学びたいと思う瞬間が何度も訪れる講義でした。
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