K.I.T.虎ノ門サロン「チェンジ!そしてブレイクスルー」

新年を迎え最初のKIT虎ノ門サロンは「チェンジ!そしてブレイクスルー」と題し、1月21日(月)19:00より虎ノ門キャンパスにて開催されました。当日は午後から雪が降るという予想もありましたが、参加申込みされたほぼ全ての方々が来られ、熱気に満ちた会場となりました。金沢本校とのTV中継も行いながら、本学の学部生や教職員にもご覧いただきました。

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基調講演は、朝比奈一郎氏(青山社中株式会社CEO)より、日本の政治と今我々に求められるものについてお話しいただきました。昨年末政権が変わり、国民の政治に対する期待や不安も高まる中、朝比奈氏からは「実は消費税の問題や、社会保障の問題などは既に16年ほど前から言われ続けてきたものであり、改めて安倍首相が掲げた所信表明の内容も以前と文言は少し変わるが、内容は少しも変わっていない」という話がありました。これまで国民が政治に対して期待してきた本質の大部分は、まさにガバナンス改革を真に推進できる人材の登場であり、これは朝比奈氏ご自身の使命とも考えているとのことで、青山社中ではリーダー塾なども開催し、次世代リーダー育成にも力を入れておられます。

その後、5名の論客によるスペシャル・トークセッションが開催され、それぞれの立場から、今の日本の現状やこれからやるべきことなどご自身の夢も含めお話いただきました。

初めにNTTデータ経営研究所取締役の唐木氏より「グローバル社会の中で、コスト削減という名目の下、様々な事業のアウトソーシングが進み、厳しい環境下で何とか勝ち抜こうと試みているが、これは本質的にはどこかで息詰まる経営です。コスト競争ばかり言わないで、多少のコストは掛かろうとも、もっと夢のある議論をし、日本らしさを出せる取り組みを行っていきたい」との言葉がありました。

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リクルートワークス研究所主幹研究員の豊田氏からは「事業創造が出来る人材が育っていない」という話があり、企業組織が拡大するにつれ、本来多様化を求めるべきどころか、それらのチャンスがつぶされているとの話がありました。「イノベーションを起こすのは人であり、現代のコンプレックス社会の中において、より多様性を求めていく姿勢が重要である」というお話は企業のみならず、日本社会全体においても重要なテーマであると感じました。

続いて、ご登壇いただいた東洋経済新報社執行役員出版局長の山崎氏からは「昨年1年間で200冊以上の本を出版してきたが、その半分の本のタイトルには、グローバル人材やイノベーション、ガバナンスといったタイトルがついていた。しかしながらこれだけ出版しても全く日常の問題が解決しないというのは一体どういうことなのか」という話があり、会場から笑いとどよめきが起こりました。また、生物学者の話の中では、サルを使った実験の話がありましたが、今の日本はこの“サルの壁”ともいうべき、経験や体験もしていない状況にも関わらず、全く新しい行動を起こそうとしない。怖がって何も出来ない状態となっているという話があり、日本は今このような状態になっているとの分析がありました。

早稲田大学大学院教授の橋本氏からは、ご自身が現在取り組まれている蓄電池に関する研究など、これからの日本におけるイノベーションが期待される分野についてお話しいただきました。「イノベーションという言葉は、通産省時代(現経済産業省)から使われていたが、途中その言葉が消え、最近また復活した。この変化の激しい時代において、これまで電気と機械の知識があれば車は作れたが、今は様々な分野が複雑に絡み合う時代となり、これまでの産業構造ではイノベーションが起こりにくい状態になっている」という話がありました。

そして、最後にご登壇いただいた一橋大学大学院客員教授で、前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社代表取締役の土岐氏からは「決めること」という話があり、ご自身が以前、営業職からマネジメント職に変わったとき上司の方から言われたことが「今日から君の仕事は物事を決めることだ」という。決めることの重要性や大変さ、また決められる人物にはしっかりとした“ぶれない軸”が必要だという話は非常に説得力がありました。

今回の虎ノ門サロンは、それぞれの論客による大変密度の濃い、豪華なメンバーを揃えての開催となりました。最後に、KIT虎ノ門サロンコーディネーターの赤羽良剛氏より、今回のシンポジウムの狙いとして、なぜここまでフィールドの違う方々をお連れしたかという話があり「話を聞いてみると考え方や本質はみんな同じことを考えている」と総括をいただきました。

充実感に満ちたこの新春の虎ノ門サロンは、まだまだ聞いていたい名残惜しさも残しつつ大盛況の裡に終了しました。この場を借りて、今回の企画実行にご協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。

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