『いま日本に必要とされるCIPO(知的財産最高責任者)とは?』

2013年1月12日(土)13:00より、KITプロフェッショナルミーティング『いま日本に必要とされるCIPO(知的財産最高責任者)とは?』を開催しました。土曜日の午後でしたが、今回の参加者も約80名と大変多くの方にお越しいただきました。

近年、知的財産の戦略的なマネジメントの実行を担う人材として注目を集めているCIPO(Chief Intellectual Property Officer:知的財産最高責任者)。CEO、CTOと共に事業戦略・研究開発戦略と知的財産戦略をリンクし、実現させる為のリーダーとしての役割を果たします。

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本セミナーでは、当大学院知的創造システム専攻の加藤浩一郎教授からCIPOの概要や必要な知識・スキルなどについて解説。引き続き、日本を代表する大手メーカーにおいて知財部門トップを務められた経験をお持ちのお二方、協和特許法律事務所情報通信部部長の加藤泰助氏(元株式会社東芝知的財産部長)、そして、株式会社リコー法務知財本部審議役の田端泰広氏をお迎えし、CIPOの役割や業務の実際などについてお話しいただきました。

 ■第一部 「CIPO(知的財産最高責任者)とは何か?」加藤浩一郎教授

まず初めに、加藤浩一郎教授からCIPOが必要となる背景や、CIPOに期待される役割についてお話しいただきました。先生によると「CEO、CTOとともに事業戦略、研究開発戦略をリンクし、三位一体の経営戦略を実現させるためのキーマン」。単なる知的財産管理者ではありません。

レクチャーの後半では、日本の知的財産企業に対して行ったCIPOに関するアンケート調査の結果に基づき、その実態及びCIPOに必要な知識やスキル等について解説いただきました。

■第二部 「複合企業における知財マネジメント」加藤泰助氏

続いてのスピーカーは、元(株)東芝の知的財産部長でもある協和特許法律事務所の加藤泰助氏。複数かつ多岐にわたる事業形態を持つ企業において、個々の事業形態に合った知的財産戦略を遂行するためには何が重要か。事業に資する知財の活用とリスク最小化に向けた知財マネジメントのあり方についてお話いただきました。

日本を代表するメーカーである東芝の知的財産マネジメントの実際に加え、それを担う組織体制や人材育成にも話は及び、貴重なお話をお聞きすることができました。

■第三部 「精密業界における知財戦略と知財トップの役割」田端泰広氏

3人目のスピーカーは(株)リコーの法務本部企画室長、同本部長を歴任された田端泰広氏。東芝と同じく日本を代表するメーカーですが、複写機、プリンターなど1製品あたりの特許件数が多い精密機器業界はまた事情が異なります。

例えば、メーカーが自社製品を知的財産権で保護しても、模倣業者がその穴を見つけ出し、これをまたメーカーがそれを防ぐ方法を考え出すという戦略的な戦いが日々行われています。また主な競合は日本メーカーですが、ライバルでありながら同時にクロスライセンス契約を積極結ぶ関係でもあります。

田端氏にはこのような業界内での戦いやそこで知財トップが果たすべき役割について、実際の経験をもとにお話しいただきました。

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■第四部 パネルディスカッション&質疑応答

最後に、加藤浩一郎教授の進行により、加藤泰助氏、田端泰広氏を交えてのディスカッションおよび質疑応答が行われました。

あっという間の2時間で、まだまだ聞き足りないという方もいらっしゃったように思いますが、当大学院では今後も第一線で活躍するプロフェッショナルをお招きしてこうしたテーマのセミナーを開催して参ります。引き続きご期待ください。

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