【授業レポート】意匠法令特論2(青木博通)

知的創造システム専攻では2期に「意匠法令特論2」(2単位、全15コマ)を開講しています。この科目のテーマである「意匠」。知財を勉強していない方でも何となく聞いたことのある言葉だと思いますが、いわゆるデザインのことです。なかでも、意匠法における「意匠」とは、美術品などの一般的なデザインではなく、工業的生産過程を経て反復生産され、量産される物品のデザインのことを指します。

特許庁HPによると、こうしたデザインは「容易に模倣することができるため、不当競争などを招き、産業の健全な発展に支障を来すこと」があり「新しく創作した意匠を創作者の財産として保護する一方、その利用も図ることを定めて、これにより意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与しよう」という目的で制定されたのが「意匠制度」です。

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本科目は1期で基本科目として開講している「意匠法令特論1」の応用科目。すでに受講生の方々は立法過程、立法者意思、起草者意思等を中心に、意匠法を一通り概観しましたが「意匠法令特論2」では、その審査基準や裁判例について集中的に学習する、より実践的な内容です。

担当するのは青木博通 客員教授。法律事務所、特許事務所、会計事務所としての機能全てを有する総合事務所「ユアサハラ法律特許事務所」にて30年近い経験を積まれ、現在も同事務所の商標・意匠部のパートナーとして活躍されているまさに第一線の知財プロフェッショナルです。

取材日は、2期の授業も佳境に入った7月末。講義も今週と来週で終わりということで、メインイベントは、これまで学んできたことを踏まえ、実際にあった意匠権侵害事例を使ったグループディスカッション&模擬裁判です。

お題は「あるメーカーが出した機器の意匠権を、別メーカーが出した類似商品が侵害しているかどうか」。これを教室の真ん中から右側と左側で「侵害している」という立場のグループAと「侵害していない」という立場のグループBに分かれてもらい、それぞれの主張を検討し意見をまとめていきます。

配布された資料に機器の商品写真が載っているのですが、一見するとそっくり、でもよく見るとデザインも機能も少し違います。法律のことを何も知らないと「似ていると言えば似ているし、でも…」と頭を抱えてしまう事例です。

案の定、受講生の皆さんも頭を抱えながら議論をしておられます。もちろん、法律やこういった事例の判断基準などは既に学習済みですが、やはり実際に議論してみると、すぐに難しい事例だと気づきます。

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青木先生も両方のグループを行ったり来たりしながら、議論をサポートします。用意された検討時間の30分はあっという間に経過。再び集合して、グループA・Bで模擬裁判の開始です。対決の構図になると討論もいよいよ盛り上がり、より学びが深まるのがこうしたディスカッションの良い点です。

そして、青木先生から解説講義。詳しい内容は控えますが、印象に残ったが次の一言「この事例は、裁判官も相当悩んだのではないでしょうか」とのこと。なるほど、それは難しいはずですね。

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