【授業レポート】リーダーシップ特論(相川充)

ビジネスアーキテクト専攻では、1期に「リーダーシップ要論」、2期に「リーダーシップ特論」を開講しています。しかし、これらの授業はいわゆるリーダーシップ論を学術的に研究することが主目的ではありません。

受講生一人ひとりが自らの組織においてリーダーシップを実際に発揮できるようになること。そのためのスキルを具体的に習得することを目標にしています。そのため、授業内では課題や演習を豊富に取り入れています。

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これら2つの科目を担当するのは相川充客員教授。東京学芸大学教授として、対人心理学を専門に研究・講義をされています。「人づきあいの技術」「先生のためのソーシャルスキル」など、実践的な著書も複数出しておられます。

今回は2期の「リーダーシップ特論」の5コマ目の授業。テーマは「アサーション」です。「アサーション」とは何か、簡単に説明しますと、

対人関係において「自分と相手の考えや感情が食い違う」「相手からの要求がどうしても受け入れられない」「相手に何かを依頼したい」といった場合、攻撃的に自己の意見を主張して角がたったり、時には言いたいことが言えず、自分が我慢することになったりした経験は誰しもあると思います。

そんな時、自分の権利(要求)、さらには相手の権利も尊重しながら、相手の思いに耳を傾け、建設的な意見や代替案を提示する方法が「アサーション」です。

授業では様々な考え方や、具体的なテクニックが出てきます。中でも印象に残ったのが「“あなた”ではなく“わたし”を主語にしたメッセージを使う」こと。一例を挙げてみますと、上司が部下の遅刻に関して言及しているシーンを想像してみてください。「(あなたは)明日、遅刻するんじゃないぞ!」ではなく「明日、遅刻するんじゃないかと(わたしは)心配だ…」の方がより伝わりやすいといった感じです。

さらに「依頼するときは肯定的結果についても説明する」「感情的にならないために丁寧語を使う」といった日常の会話スキルや、どうふるまうかという行動スキルについてレクチャーしていただきました。

そして最後に演習です。例題の一つが「先輩に貸していた大事な本を返してもらったら、コーヒーをこぼしたような跡があった時に、あなたはどう言うか?」。

これが意外と難しく「面と向かって先輩に“汚れているから弁償してください”とは言えませんので、そうですか…と言って受け取る」「お貸しした際は汚れていなかったと思います。元の状態に戻して返していただけますか」など、受講生の皆さんの答えはバラバラで、うまく自分の主張を伝えられない様子の方も多くいらっしゃいました。

しかし、それも仕方のない話で、こうしたスキルは繰り返し使ってみてはじめて身につくもの。相川先生も「ぜひ今後も意識して積極的に使ってほしい」とのことでした。次回の授業に向けて作成する課題も、会社の同僚や家族などにアサーション・スキルを使ってみて、その結果をレポートするものです。学んだことを即実践する、これこそが働きながら学ぶ社会人大学院の醍醐味です。

こうしてあっという間に1コマ90分の授業が終了。たった1コマ後ろで聞いているだけでも、明日から意識して使ってみようというスキルをたくさん知ることができる授業でした。

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