今回で53回目となった虎ノ門サロン。今年前半のテーマは「イノベーション大国に返り咲く〜求められる新たなアプローチとフロンティア人材」と題して、そのシリーズ最初にお話しいただいたのは、野村総合研究所公共経営戦略コンサルティング部の主任コンサルタントとしてご活躍される山口高弘氏。
山口氏からは「モノの作り手からストーリーの創り手へ」というタイトルでご講演いただきました。世間では若手といわれる世代の方ですが、話はデザイン型人材の必要性や、今の日本的人材育成の傾向、その問題点など、非常に納得出来る話ばかりで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
まず始めに、途上国で生まれた世界最大のモバイル・バンキング・システムの話や、既存の社内システムだけでは生み出すことの難しいイノベーションの起こしかた等について、熱くお話しいただきました。
続いて、新しい発想を生み出すためにエピソードとして、家庭用ゲーム機の任天堂Wiiの話がありました、まだまだ我々の記憶にも新しい言わば画期的なハードウェアですが、これはいったいどのようにして生まれたのか?家庭にいるお母さんを喜ばせるためのゲーム機を作るにはどうしたらよいのか?といった発想は、なるほどと感心するばかりでした。
さらに、Wiiの画期的なゲーム操作リモコン(縦型)は、試作機を1000個も作っていたそうで、1日に3個作り、改良を繰り返していたという話は、じっと机の上やPCの前で考えているのではなく、思いついたら、すぐにその場で試作機を作ってみるというスピード感が大事だということを教えてくれます。
これまでの日本の技術産業は、高度な技術組み合わせにより、高付加価値を生み出す方向に偏っていました。それは競合他社よりも性能が良い、または、様々な付加価値要素が組み込まれているといった競争が続いてる時代であれば良いですが、これからの時代は違います。
「新しい体験の創造とそれらを実現させるためのプロフェショナルたちの共闘が必要だ」と、山口氏は語っていました。まさに、共同と共創の時代であると改めて認識させられた虎ノ門サロンでした。
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