【授業レポート】グローバルビジネス特論③(山田英二/江口征男)

ビジネスアーキテクト専攻の山田英二教授が担当する「グローバルビジネス特論」。引き続き、今回もゲスト講師を招いての授業をレポートします。

今週のテーマは「中国ビジネス」。

ゲスト講師は、GML上海で総経理を務める江口征男氏。上海にて日系企業の中国事業拡大支援を行う江口氏は、ブーズアンドカンパニーやアクセンチュアなどのコンサルティング会社や子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルでの勤務を経て、5年前に中国にて起業されました。

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「中国では、日本と同じやり方では勝てない」が「中国人の考え方、お金の使い方、意思決定の仕方などを学ぶことで、中国人と心理戦で互角に渡り合い、ビジネスに勝利することができる」という江口氏。

その豊富な経験に基づき、商習慣やビジネス環境が大きく異なる中国市場でビジネスを行うポイントについて、ぐぐっと凝縮してお話しいただきました。

以下、いくつかポイントを抜粋しますと...

◆儲かっている(=良い事業を展開している)ことを示すために、営業マンは客先にメルセデスベンツで訪問する。レンタカーを利用することも。

◆「商品力」ではなく「ブランド力」が重要視される市場なので、広告への投資やSNSでの口コミ拡大などを徹底的にやるのが大事。日本企業は十分でないことが多い。

◆取引先を開拓するために大切なことは実績と結果。ある商品を全国の百貨店に卸したいと思ったら、初戦が肝心。広告予算を使って、時には自分で買ってでも目立つヒットを出すことで、中国全土のバイヤーから注目される。

◆日系企業の多くが「売掛金回収」で苦労。「とりあえず払わないでおく」「資産を別会社に移転し計画倒産」「契約書が偽物の会社印で押印されている」など日本ではありえないようなことが起きるので、取引先の小さな変化を感じることが重要。

◆中国人スタッフに気持ち良く仕事をしてもらうには2つ。1つは、ちゃんとフェアな額の報酬を払うこと、もう1つは社員の奥さんを誘ってご飯を食べに行くなど、身内として扱うこと。なお、要職は能力が多少低くても、絶対裏切らない人がいい。

◆日本企業がうまく行っていないのは、考え過ぎてしまう。成長市場である中国では「これ売れるかな?」という商品でもそこそこ売れるのに、日本企業は開発した後、数ヶ月市場調査をして絞り込んでしまうのが却ってよくない。

多くの日本企業を支援し、また、ご自身も「中国人の共同経営者にお金と印鑑を持って逃げられた」経験をお持ちの江口氏だけに、豊富な実例を交えながら、お話しいただけました。

最後に、中国は確かにこうしたリスクはあるが、やはり大きなリターンが期待できる成長市場であり、逆に言えばリスクを低減さえすれば非常に魅力的な市場である、ということを強調されていました。

また、江口氏はダイヤモンド・オンラインにて「日本人が知らないリアル中国ビジネス」という連載コラムを書かれています。中国ビジネスについて、さらに詳しく知りたい方は、是非こちらもご確認ください。

4回シリーズでレポート予定の「グローバルビジネス特論」。次回はBoPビジネスをテーマとした講義になります。お楽しみに!

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