【授業レポート】グローバルビジネス特論②(山田英二/諸橋峰雄)

2011年度より新たに開講している「グローバルビジネス特論」。昨年末もレポートを掲載しましたが、後半4コマは、様々な分野の第一線で活躍するビジネスプロフェッショナルをゲスト講師として招いての講義となります。

今回のテーマは、事業を通して社会的課題の解決に取り組んでいく「ソーシャルビジネス」、新興国や途上国の低所得者層をターゲットに商品やサービスを提供する「BoPビジネス」、自らの専門性やプロフェッショナルスキルを無償(ボランティア)で提供する「プロボノ」の3つ。

自らのスキルや時間を活用して、時には事業そのもので社会課題の解決に取り組んでいく。こうした事業や仕事のあり方は日本でも徐々に広まりつつありますが、実はグローバルなビジネスシーンでも大きな流れを生み出しつつあります。

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今回のゲスト講師は諸橋峰雄さん(現プライスウォーターハウスクーパースPRTMマネジメントコンサルタンツ シニアマネージャー)。諸橋さんは、途上国向けに革新的な技術を届けるマーケットプレイス(仲介市場)を運営するNGOであるコペルニクにて、日本支部の代表をプロボノとして務められた経験をお持ちです。

現在もコンサルティング会社に勤めながら、東北の復興に向けたBLUE FOR TOHOKUプロジェクトの立ち上げに携わっているなど、今回のテーマにふさわしい、フロントランナーのお一人です。

はじめに、コペルニクのビジネスモデルや実際に途上国に展開しているテクノロジー、スタートアップのきっかけについて簡単に説明していただきました。

国連で途上国の開発課題に長年携わってきたコペルニク創業者の中村氏が「貧困という大きな地球上の問題を、閉鎖的な開発業界を超えた世界的問題解決ができないか?」「途上国向けテクノロジー分野で様々なイノベーションが起こっている。こういったダイナミズムを、真っ向から開発問題解決に取り入れたい」といった考えを実現する方法として、大きな組織を飛び出し、自ら事業を立ち上げられたという話は大変印象的でした。

その後、諸橋さん自身が立ち上げから参画されたコペルニク日本支部での取り組みについてお話しいただきました。フルタイム職員ではなく、無償で自らのプロフェッショナルスキルを提供するプロボノとして関わられている諸橋さんに対し「なぜ、そのような強い情熱をお持ちなのか?」という質問が受講生からありました。

この質問に対しては「多くを与えられている人は多くを期待されている。多くの贈り物をもらった。他の人たちのために精いっぱいそれを生かすのよ」という米アキュメン・ファンド(非営利組織向けの支援組織)の代表ジャクリーン・ノヴォグラッツ氏の言葉の影響や、また「会社でやったことがプロボノで活かされるし、プロボノでやったことが会社でも活かされるということはある。お金ではなくとも、得るものは多い」というプロボノの実利面について、お話しいただきました。

最後に山田先生が「諸橋さんのように、外国の様々な問題を自分たちの問題として捉えることが、グローバルビジネスパーソンに必要ではないか。短期的には関わりはなくとも、長期的には間違いなく関わることになる。全くの功利主義だけで海外に行くのではなく、相手国の課題や背景を共有していくことが、日本企業が支持されるためには必要だと思う」とまとめのコメントをされました。

「グローバルビジネス」を行う時に「ソーシャルビジネス」の考え方を持つことで、新しい事業機会も得られる。確かに、そういった視点を諸橋さんの話からいただいたように思いました。

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