【KIT虎ノ門サロン×ジョージ・オルコット氏】~グローバル時代の日本的経営の課題~

11月22日(火)19:00より第51回 KIT虎ノ門サロンが開催されました。今回は東京大学先端科学技術研究センター特認教授のジョージ・オルコット氏をお招きして「グローバル時代の日本的経営の課題」をテーマにお話頂きました。

オルコット氏は日本生まれで10歳まで鎌倉に住んでいたこともあり、キャセイパシフィック航空、シェルインターナショナル、UBSウォーバーグなど外資系企業を経て、日本板硝子株式会社、NKSJホールディングスの社外取締役を務めるなど、外資系企業だけでなく日本の企業経営にも深く関わっていらっしゃいます。

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近年、ケンブリッジ大学時代に書かれた博士論文が日経新聞の目に止まり出版化された外資が変える日本的経営があります。本著の中で「M&Aで外資の傘下に入る日本企業が増えており、日本的経営の基盤をなす企業組織と外資による経営方式とが軋轢や対立を生み出している」と実証研究をベースとした外資との効率的ハイブリッド組織を考究されています。

講演冒頭では「In Japanese?」と言って会場を和ませて下さり、ユーモア溢れる素晴らしい講演会となりました。

一方、その論説は切れ味鋭く「日本的経営の一番の問題点はOBが重役を担っていることである。これは企業文化を守る際にはプラスの要素として働くが、改革を進める際には逆に大きな障害となる」とのことで、読売グループや大王製紙の問題など紙面を賑わせている最新トピックスについても考えさせらせる内容でした。

また、グローバル化の重要性がこれだけ叫ばれている中、閉ざされたガバナンス、全取締役数における社外取締役および外国人取締役の割合、対日直接投資の数値などのデータを明確に示して頂きながら、日本的経営が抱えるその特長(問題点)について警鐘を鳴らして頂きました。

例えば、全取締役数における社外取締役の割合を国別に比較してみると「2008年現在、アメリカ74%、イギリス40%、中国36%ですが、日本はわずか10%。この数値が物語ることは何でしょうか?それはガバナンスの閉鎖性がもたらす危険性だと考えます。つまり社長・取締役のほとんどが新卒→部長→取締役→社長→会長→顧問→相談役のインサイダーで、外国人の取締役に至っては1社あたり0.07人しか存在しない」

グローバルな視点で急速な変化・変革が要求される今、アウトサイダー(外部者)の視点が必要だと言います。

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講演後半には、日本板硝子における経営手法、英国ピルキントン社の買収、そして将来性について社外取締役としてのご意見を頂きました。もともと同社は国内での事業展開が中心の硝子メーカーでしたが、2006年に英国の大手ピルキントン社を買収し、一気にグローバル企業へと発展を遂げた経緯があります。「日本の企業も更なる発展を求めて海外進出を図り、世界的競争の中で生き残りを図ることになるだろう」と日本企業のさらなるグローバル化へ繋がる様々な提言をして頂きました。

外資系企業に買収された日本企業の成功例(日産・中外製薬)や失敗例(社名はイニシャル)についても、各経営者・従業員のインタビューを数多く交えながら、丁寧にご説明頂きました。

質疑応答タイムでは、日本企業の弱みばかりではなく強みや良さについても言及頂き「外資の力を借りてより良い経営を目指すべき」と締めくくって頂きました。

次回の虎ノ門サロンは12月6日(火)特別編として4名のゲスト講師をお招きし「ニッポンを大チェンジ!-若き社会企業家たちからの提言-」をテーマに開催して参ります。NPO法人代表の方々によるパネルディスカッションも予定しておりますので、皆様奮ってご参加ください!

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