10月19日(水)第50回 KIT虎ノ門サロンが開催されました。今回は週刊東洋経済 元編集長の山崎豪敏氏をお招きして『ビジネスマンの真の国際化とは?』をテーマにご講演いただきました。
現在、先進国が直面する大収縮時代における生き残り戦略について丁寧にご説明いただいた後、全てのビジネスパーソンが向き合わなければならない、様々な問題についてお話いただきました。
まずは、山崎氏の自己紹介と過去に手掛けた書籍・雑誌をご紹介いただき「売れる本、売れない本」について、各時代時代の社会情勢を交えながら、ざっくばらんにお話いただきました。
さらには、10月に亡くなったばかりのスティーブ・ジョブズ氏について言及され、アップルコンピュータの栄枯盛衰から現在までの絶好調ぶりを細かく分析していただきました。同時に、その経営スタイルを例に挙げ、常にマーケットを重要視した「市場の人」という指摘は正に当を得たものでした。
続いて、米スタンフォード大学教授のジェフリー・フェファー氏の『権力を操る人の法則』という書籍を紹介して頂き「出世する人は優秀だからではなく、上司との“単純接触回数”が多い人だ」と強調されていました。そんな中、スティーブ・ジョブズ氏は結果だけで出世した(市場に受け入られた)人と言えます。ユニクロの柳井社長も同じタイプで、ビジネスマンはなにより「市場の人」でなければならないとおっしゃっていました。
また、雇用市場がグローバル化した際、日本人ならではの強みを活かせる仕事と、そうではない仕事について、週刊東洋経済誌の記事を参照しながら、細かい分析を加えて頂きました。私達日本人の競争相手は、10億人規模に膨れ上がるであろうインド・中国のホワイトカラー層だと言います。
「医師、弁護士、コンサルタントなどの分野では日本人ならではの強みが活かせる一方、プログラマーやコールセンターのオペレーターなどは海外からの来る優秀な人材に、早々に仕事を奪われてしまう」と危惧されていました。
今回の講演を通じて感じたのは山崎氏が無類の本好きだと言う事。50年前の書籍から最近のベストセラーまで幅広いジャンルの本を引用していただき、非常に好奇心をそそられる講演となりました。
最後に、質疑応答の時間に挙げられた興味深い話を一点だけ紹介します。
欧米の大学生と日本の大学生の大きな違いについて。それは、教養=読書量の差だと言います。
一般的に欧米の企業経営者は経済学だけを学ぶことはなく、学生時代は哲学や歴史を専攻しているケースが多く、経済学は社会人になってからMBAスクール等で初めて学ぶという感覚だそうです。
一方、科学雑誌の分野に目を向けてみても、その出版量の差は日米で10倍以上あると言われています。様々な分野の知識や知恵を幅広く吸収することにより、企業経営に対するバランス感覚・倫理感覚を保てるのではないでしょうか。非常に示唆に富んだ事例でした。
コメントする