ビジネスアーキテクト専攻では、2期に「ビジネス分析特論」を開講しています。本科目で扱うのは、「顧客行動分析」や「サプライチェーン分析」「意思決定分析」など、コンサルティング実務で必要となる定量分析技術。これらの基本概念や本質を理解するとともに、自ら計画・実施できることを目指します。
担当するのは田村誠一客員教授。大学卒業後はアクセンチュアにおいて約18年間戦略コンサルタントとして活動。各業界を代表する40社超のクライアント企業に対し、全社戦略・事業戦略立案、M&A支援、バリューチェーン再構築、マーケティング・CRM戦略立案、R&D改革等、約80プロジェクトに携わってこられました。現在は、株式会社企業再生支援機構のマネージング・ディレクターに転身し、数多くの事業再生案件を担当しています。
全8回の授業で扱う分析は以下(最終回は小テストとまとめ)。実際の事例を交えながら、それぞれの技術について論点・分析プラン・調査設計・調査・分析の流れを体系的に習得することを目指します。
Day 1:市場分析
Day 2:顧客行動分析
Day 3:法人営業分析
Day 4:サプライチェーン分析
Day 5:財務分析
Day 6:コスト分析/事業特性分析
Day 7:意思決定分析
Day 8:小テスト/まとめ
3回目の授業である本日のテーマは「法人営業分析」。法人営業のパフォーマンスを全社的に高めるために何をすべきかを、定量的な分析から導き出す手法です。
田村先生によると、「法人営業分析」を通して行う施策は主に3つ。(1)営業事務改革と(2)顧客ターゲティングと(3)営業プロセス管理です。
最初は(1)営業事務改革。営業スタッフが何に時間を使っているかを定量的に分析し、営業スタッフがやるべきでない仕事や、成果につながらない無駄な業務を減らすことで、営業に使える時間を創出します。
次が(2)顧客ターゲティング。顧客ごとに期待できる売上や利益を定量的に分析し、より大きなリターンが期待できる顧客により多くの時間を割き、逆にあまりリターンが期待できない顧客に割く時間を減らします。
今回の授業で取り上げたのは、自社・他社含めた顧客ごとの購入金額と、その中で自社がどれだけのシェアを持っているのかという定量データに基づいて、顧客を「最重点」「開拓先」「維持」「撤退候補」の4つに分類し、それぞれにどれだけの時間を使っているかを分析する手法。
ある企業のデータを見せてもらいましたが、全くメリハリがなく、アプローチしなくても良いターゲット(撤退候補)に、多くの時間を割いていることが一目で分かりました。
この背景には、日本企業の管理職(マネージャー)は、一人の営業スタッフになってしまう傾向が強く、どこに営業すべきかを分析し、計画および管理のできる人材が少ないという実情もあります。
そして最後が(3)営業プロセス管理。案件ごとに顧客が購入に向けて、今どういうステージにいるのかという「熟度」を管理・共有することで、マネージャーが部下に対し、必要なサポートや的確な指示を出し、営業活動の質を向上させること。
ここでも、多くの日本企業では管理職の役割と責任が不明瞭で、このような分析に基づいて、部下を指導・支援するということが余りなされていないと、ご説明いただきました。
実際の授業では、もっと多くの分析手法や実例を交えてお話しいただいており、中身の濃い、あっという間の90分でした。
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