【授業レポート】特許・実用新案法令要論(棚橋/酒井/加藤)

知的創造システム専攻では、1期に、月曜日5限(18:45~20:15)・6限(20:30~22:00)2コマ連続で「特許・実用新案法令要論」を開講しています。

知的財産の中でも「特許」および「実用新案」の領域について制度の概要や法律知識の基礎を学びながら、企業において実際に発生した事例を適宜参照します。今後、特許および実用新案について、発展~応用~実践と学習を進めていくための基礎となる知識・能力を獲得して頂くのが本授業のゴールとなります。

知的創造システム専攻の2011年度の最初の授業日でもあるこの日、トップバッターとして1コマ目を担当するのは棚橋 祐治 教授です。

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棚橋先生は通商産業省入省後、大臣官房総務課長、内閣総理大臣秘書官、通商産業事務次官を歴任。平成2年及び平成5年の不正競争防止法改正並びに数度の特許法の改正を担当されるなど、日本の特許政策の最前線で活躍されてきました。

この時間のテーマは、法律学および法体系の全体像とその中での特許法および実用新案法の位置付け、そして法律を勉強するにあたって押さえておくべき基礎知識。じっくり授業するとこれだけで1年かかる内容ですが、教材を参照しながら重要なポイントに絞って解説して頂きました。

続いて2コマ目を担当するのは、本専攻の専任教授でもある酒井 宏明 教授。国際特許事務所(東京)、米国法律事務所での勤務を経て、30代で酒井国際特許事務所を設立。30年近くにわたり企業の知的財産の取得・活用に多面的に携わってこられました。現在、同事務所の特許出願件数は日本で3位、PCTに基づく国際出願の件数では、なんと世界7位です。

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酒井先生は2コマ目から8コマ目までの計7回を担当。経済システムや企業経営における特許の位置付け、特許出願に関する基礎知識、企業の知財戦略や特許戦略について取り扱います。

本日のメインテーマは経済システムや企業経営における特許の役割。

国家のシステムを介して企業利益を追求するための経済システムである特許制度の成り立ち、そしてそれを活用してどのような利益を得ることが、また企業における知財戦略の重要性を解説して頂きました。

独占的な生産・販売による利益や、ライセンスによるライセンス収入といったのは良く知られている利益です。

しかし、これだけではありません。標準化・規格化による市場制御(ライセンスを広く安くメーカーに提供した日本ビクターのVHSがベータマックスに勝利)や、特許も含めた事業の譲渡(マイクロソフト社のウェブTV社の買収額は35のキー特許含めて4億ドルに)など、企業経営そのものに多大な影響をもたらしうるものです。

授業中は、先生から院生の皆さんに次々と質問が。最初の授業ということでまだ戸惑っている院生さんも多いですが、授業には常に全員参加を求められるKIT虎ノ門大学院らしい授業が早くも展開されました。

 

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