【公開ゼミレポート】~IBMの知的財産戦略~上野剛史氏

知的創造システム専攻の専攻主任でいらっしゃる加藤浩一郎先生の公開ゼミに、日本アイ・ビー・エム㈱理事・知的財産部長の上野剛史氏をお招きし、「IBMの知的財産戦略」をテーマにお話いただきました。

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ご存じの通り、IBMは全世界170ヶ国でビジネスを展開し、約40万の従業員から成り立つ巨大なグローバル企業です。また、その知的財産に関わるポートフォリオについてもソフトウェアからハードウェア技術と多岐にわたり、知財収入だけで10億ドルもあると言われています。「知財収入のほとんどが利益になる」という上野氏の言葉からも知財戦略の重要性が裏付けられます。

上野氏によると、IBMでは、PPM(Patent Portfolio Manager)による知財ポートフォリオの中央集権管理を行い、ビジネスユニットごとではなく技術分野単位で特許の取得・活用をすることで、自社技術資源の最大化を図っています。

また、「Smarter Planet」というスローガンの下、米国内において18年連続1位の特許取得数を保持しながら、市場を独占するための特許取得だけではなく、自社技術の積極的な公開(オープンソース化・インフラ化)し、オープンイノベーション化を推し進めているそうです。基本的な考え方としては、ITを通じて交通渋滞、食糧危機、環境問題など様々な社会問題を解決していくというものです。もちろん、ビジネスですので、将来的にはIBMの利益へと繋がっていくのでしょう。

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例えば、環境問題に目を向けてみると、いくら低価格で性能の良い電気自動車を作っても、エネルギーを供給する電気ステーションを整備しないと、社会的な普及は望めません。

さらに、IBMのCEOサミュエル・J・パルミサーノ氏の言葉を引用すると・・・

「知的財産は、21世紀における重要な地政学的な課題のひとつとなり、すでに焦点は、知的財産を保護することから、共有化、投資、資本化に基づく知的財産の最大化に向かってシフトしている」

つまり、世界的規模の問題に直面した場合、IBMのような超巨大企業でも、単独での解決は到底不可能です。他企業はもちろん、世界各国の政府・自治体との連携が必要となり、技術のオープンイノベーション化は避けて通れない課題となってきています。

公開ゼミ終了後は、上野氏を交えた懇親会も予定されており、皆さんの楽しそうな表情が印象的でした。日常業務上ではアポイントを取ることすら困難な方々と会って、質問をして、議論を交わす。このように、KIT虎ノ門大学院では、社会人の知的欲求を満たすことの出来る場を、引き続き提供していきたいと考えております。

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