【授業レポート】知的財産管理・戦略特論2(客員教授5名)

知的創造システム専攻・4期では、金曜日夜に「知的財産管理・戦略特論2」を開講しています。

まもなく1年のカリキュラムを終える院生さんたちが、これまで学習してきたことを日々の業務に活かすために用意されたこの授業。担当するのは5名の客員教授で、全員が日本を代表する大手企業で知財部門のトップを現在務めておられる、もしくは過去に務められた方々ばかりです。

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左から順番に、加藤泰助先生(東芝)、江崎正啓先生(トヨタ)、田端泰広先生(リコー)、井桁貞一先生(富士通)、山田和見先生(旭化成)、にご参加頂きました。

これらの企業はいずれも日本を代表するメーカーであると同時に知財先進企業でもあります。また、自動車、化学、IT、電機と業種が異なる上に、事業戦略や組織形態も当然違いますので、様々な視点から貴重なお話を聞くことができました。

知的財産戦略が企業価値や業績に莫大な影響を与えうる。そんな現場で数々の修羅場(訴訟など)を経験した5人の客員教授陣から「生々しい」事例を聞ける。このような授業を受けられるのはK.I.T.虎ノ門大学院だけだと思います。

全16回からなる本授業は5名の客員教授がそれぞれ3回ずつ担当し、幅広い実務的なトピックスについて学習します(全体の構成・統括を担当しているのは酒井宏明教授です)。

そして最終回となる今回は、先生方が全員そろってのフリーディスカッション形式。院生さんが自身の業務の課題や悩みを質問し、先生方から回答・アドバイスをして頂きました。

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一つだけ例を挙げると、「どうやって自社の機密を守るか」について議論が交わされ、その対応方法について院生さんから質問がありました。

しかし、「最近の知財マネジメントの課題はそこではない」というのが先生の反応。むしろ「いかに他社の機密を知らないようにするか」が問題になっているようです。

最初は何故?と思いましたが、下手に他社から機密を聞いてしまうと、自社で似たような技術を開発した際に「それはウチの技術じゃないか」と言われ告訴されてしまう危険性があるとのこと。

「だから、何か送られてきてもすぐ封を開けないようにしている」とか「自社商品をつけて送り返すことにしている(笑)」とか。このように一般的な知財の教科書には書いていない話をたくさん聞くことができます。

その他、以下のような質問が出て、先生方から回答を頂きましたが、ここには書けない話が大半で問題になるといけませんので割愛させて頂きます。

「特許を出願するかどうかの判断を現場ではどうやっているのか?」

「多くの部門に様々な人が勤めている大企業の社内では、知財に関するコミュニケーションをどのように取っているのか。何か教育制度はあるか?」

「知財部のあり方として集中型と分散型があるが、先生方の会社ではどういう理由でどういう形態をとっておられるのか?事業部との関係性は?」

「営業部門に勤めているが、知財部門の人たちはビジネス感覚がないので交渉の場面で困っている。先生方はどのようにビジネス感覚を鍛えられたのか?」

「以前技術者だった時、知財部門は煙たい存在だったのですが、今、知財の仕事をして両者の協力は不可欠と感じている(笑)。先生方はどのようなマネジメントをしてこられたのか?」

先生もおっしゃっていましたが、どの質問も、正解は一つではありません。当然、会社によって対応が違います。しかし、単に「当社はこうだった」という話にとどまらず、「なぜそのような判断をしたのか」という理由も含めて丁寧に説明して頂けるため、これまで体系的に学んできた理論をベースに、より実践的な理解が深まっていきます。

さて、これで1年間の授業もほぼ終わりです。

しかし、院生の皆さんは息つく暇もなく、レポートや試験、そして修士取得に向けた研究のまとめが待っています。いつにも増して皆さん連日夜遅くまでキャンパスで勉強されていますが、くれぐれも体調には気を付けて頑張って欲しいと思います。

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