【授業レポート】マーケティング・コミュニケーション特論(山下史郎)

ビジネスアーキテクト専攻・3期では、火曜日の1コマ目(5限、18:45~20:15)に、「マーケティング・コミュニケーション特論」を開講しています。

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今年度から新規開講のこの授業では、人々の情報生活が大きく変化するなか、変革期を迎えているマーケティング・コミュニケーション(MC)について、第一線で活躍する実務家から学ぶことができます。

<全8回の講義構成>
【MCの現在の課題を理解する】
#1 イントロダクション(全体テーマの説明、MCの環境を知る)
#2 新しいMCの思考フレーム(広告会社の企画フレームを理解する)
【生活者・メディアを知る】
#3 「生活者」を知る方法(「エスノグラフィック」手法を知る)
#4 新しい「メディア」の活用方法(ソーシャルメディア活用を考える)
【先端的「広告」のココロを知る】
#5 生活者の興味関心をつかまえる方法(広告ではない広告を考える)
#6 嫌われないMCの作り方(「使ってもらえる広告」のココロを知る)
#7 「非広告型広告」の作り方(「広告概念の拡張」を考える)
【全体のまとめ】
#8 ショートプレゼンテーションと講義全体の振り返り

担当するのは山下史郎客員教授(株式会社博報堂DYメディアパートナーズ ナレッジ開発部部長)。大手広告会社の博報堂で15年間、多種多様な企業のマーケティング戦略・企画の立案に携わり、その後、ブランディング、CRM、デジタルマーケティング領域における研究開発を担当。そして現在はそれらの新しい領域を含む統合的マーケティング・コミュニケーション手法の研究開発に取り組んでおられます。

また、各回のテーマに合わせてゲスト講師を積極的に招いているのもこの授業の特徴。今日7回目の授業では、何とゲストは2名です。

●まず前半のゲスト講師は佐藤達郎氏(博報堂DYメディアパートナーズ エグゼクティブプロデューサー/エグゼクティブクリエイティブディレクター)。

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数多くの企業キャンペーンを手掛けてこられ、カンヌ国際広告祭をはじめ、内外の広告賞で多数の受賞歴があり、また審査員も務められた経験がある、広告クリエイティブの第一線で活躍するプロフェッショナルです。青山学院大学、多摩美術大学の大学院でも非常勤講師として教鞭をとられており、広告学会でも積極的に発表されるなど広告分野における教育・研究にも熱心に取り組まれています。

※11月10日(水)に「教えて!カンヌ国際広告祭 ~広告というカタチを辞めた広告たち」という初の著書を発売されます。

佐藤氏が話されたテーマは「非広告型広告」。「商品の説明をする」「商品を買わせようとする」、いわゆる従来の広告が消費者に受け入れられづらくなっている現状や、そのような状況の中で広告はどのような方向に向かっていくのかについて解説頂きました。

授業で取り上げられた事例を一つだけ紹介します。例えば以下のキャドバリー社のミルクチョコレートのTVCM。「これって広告なの?商品は売れるの?」と思ってしまうようなCMです。

しかし、この広告は高く評価され、また何より実際に売上増に貢献したそうです。それはなぜなのか...という話を「Talkability(それについて人に話したくなるような状況・性質)」と「Ad Avoidance(生活者が広告を避けている状況)」という業界の最新キーワードからひも解いて頂きました。

●続いて後半のゲスト講師は藤原将史氏(博報堂DYメディアパートナーズ メディア・コンテンツソリューション局 ナレッジ開発部 メディアプランニングディレクター)。

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世の中にはテレビや新聞、雑誌、ラジオ、インターネット、モバイル、屋外広告など様々な広告メディア(媒体)がありますが、それらのメディアを目的達成に向けてどう組み合わせ(プランニング)、そして必要な枠を実際に確保する(バイイング)という業務が広告ビジネスにはあります。藤原氏はその、メディア・プランニングおよびメディア・バイイング業務に長年携わってこられたメディアのスペシャリストです。

藤原氏の今日の講義テーマは「メディア・プランニング」。メディアを通じて、どのようにメッセージを効果的・効率的に伝えるかについて、各メディアの特性に触れながら、アルコール飲料を例に挙げて解説頂きました。

また、ここでも最後に話題になったのが、生活者を取り巻く環境の変化。インターネットの登場により情報の伝達経路が変化し、メディア・プランニングのあり方も変化しつつあるとのことです。

変化の最前線で実務に取り組まれている藤原氏ならではの見方として新鮮だったのは、新聞の話。インターネット広告市場が伸びているのに対し、新聞広告市場は部数とともに落ち込んでいる...というのは多くの方がご存知だと思います。しかし実は「若い人で新聞を読む層は情報感度の高い人が中心となっており、購買力や影響力の大きい彼らに効果的・効率的にリーチするには非常に有効なメディアとなっている」という形で見直されているそうです。

●...と、全てはお伝えできませんが、マーケティング・コミュニケーションの基本から最前線の動向までをゲスト含めた豪華講師陣から学べるこの授業。次回最終回は受講生によるショートプレゼンテーションと、山下先生によるまとめを予定しています。

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