10/25(月)夜19時、第42回K.I.T.虎ノ門サロン【いまこそ日本の創造力を活かすとき。-マイケル、マドンナ、ストーンズ...アメリカの現役プロデューサに聞く -】が開催されました。
今回は、金沢工業大学大学院コンテンツ&テクノロジー融合研究所の北谷 賢司 教授にご登壇いただき、国内音楽市場の変遷、北米を中心とした音楽・映画・演劇・スポーツなどライブイベントの歴史、そしてラスベガス・香港・シンガポールのカジノ産業の現況など、エンターテイメントビジネスについて幅広くお話いただきました。
まず始めに、国内のレコード&CD販売数はピーク時(1993年)の約半分まで下落していますが、ネットによる音楽配信市場は急速に拡大を続け、従来のビジネスモデルを根本から変えてしまっています。現在ではアーティストのウェブサイトから直接、楽曲をダウンロードすることも可能となり、渋谷にある有名レコードショップの閉店など様々なエリアに影響が出始めています。
しかし、音楽のライブイベントに足を運ぶファンは年々増加しており、音楽産業全体のボリュームは減少するどころか、むしろ増えつつあります。ソニーミュージックやエイベックスグループなど大手レコード会社はライブイベントやマーチャンダイジング分野に資本を投下し、新たなビジネスチャンスを狙っています。
一方、エンターテイメントビジネスの本場である米国市場に目を向けてみると、1960年代のビル・グラハム氏に代表される地域プロモーター制から始まり、企業同士のM&Aを繰り返しながら、1990年代に入るとマスタープロモーター制へと変化を遂げました。ローリングストーンズの再結成ツアーを成功に導いたマイケル・コール氏などが有名です。
エンターテイメントビジネスは、「地域」から「国」へ、そして「世界」へと急速に拡大を続け、2010年現在、世界規模で行われる音楽興行ビジネスはカリフォルニア州ビバリーヒルズに本社を構えるライブネーション社と、フィリップ・アンシューツ氏率いるAEG社の2社によって寡占的に支配されています。
後半では、カーク・カコリアン氏がギャンブルの街であったラスベガスを一流のエンターテイメント都市に成長させた話や一流のアーティストのために常設アリーナを建設した話、スティーブ・ウィン氏によるボクシングの世界タイトルマッチ集中興行の話やショッピングやエステ・フィットネス機能を兼ね備えた施設を用意し家族連れでも楽しめる街に変化させた話など、具体的な事例を交えながら熱心ご説明いただきました。
アジアでもラスベガスに引けを取らないカジノシティーが次々と台頭してきており、中国のマカオや、シンガポールのセントーサ島などが良く知られています。近いうちに日本版カジノシティーの誕生もあるかもしれません。
最後に、「日本ではエンターテイメントビジネスにおける専門知識を持った人材の育成が遅れており、それに対応する高等教育機関もない。しかし、日本の若者達にはもっと積極的に世界へ出て行って勝負して欲しい」と心配されていました。
サロン終了後も、多くの参加者が北谷教授のもとに挨拶へ訪れ、予定時間を大幅にオーバーしながらも質疑応答や意見交換を行っていました。
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