知的創造システム専攻・2期の木曜日5限(18:45~20:15)は、菊池純一客員教授による「知的財産評価特論」。青山学院大学法学部大学院ビジネス法務専攻にて教授を務められている菊池純一客員教授は、知的財産の価値評価および知財会計について十数年前から研究を進めており、知財アウトカムマネジメントを提唱している、知的財差評価の第一人者です。
全8回からなる本授業。まず、知的財産(特許権、商標権、著作権、営業秘密)を理論的に整理することから始めて、知的財産の評価手法を体系的に学び、基本となる論理的視座を習得します。その後、次の段階として、証券化事例、損害賠償事例、ライセンス取引事例、会社簿外取引、標準化等における知的財産評価のモデルをベンチマークとして学びます。
<全8回の授業内容>
基礎編その1:評価ロジック・モデルの構築
基礎編その2:インカム・ロジックに基づく評価手法
応用編その1:適性リスクの評価方法(ミニイベント:知財パッケージのリスク評価)
応用編その2:簿外資産の適正評価方法(ミニイベント:キャラクターの知財評価)
応用編その3:訴訟事案の算定方式
応用編その4:合理的算定に至るための必要条件(ミニイベント:損害推定の評価)
応用編その5:RAND 条件下における評価方法(ミニイベント:シャープレイ値の計算)
発展編その1:複合知財の質的指標評価(ミニイベント:評価リファレンスの構築)
7回目の授業となる今日のテーマは「RAND条件(合理的かつ非差別的取引)下における知的財産の評価方法」。
知的財産のことを知らない方には何のことか分からないと思いますので、できる限り簡単に説明しますと...
●知的財産の利用においては、通常の場合、単一の知的財産ではなく、複数のライセンサによる複数の知的財産の組み合わせとして利用に供されます。
●中でも、国際標準化に供されるような知的財産(例:DVD、Bluetooth)において時に数百にわたる個別の必須技術をどう評価するかは、ライセンサ当事者間の利益配分などにおいて重要な問題です。このあたりの背景と現状、将来動向について授業の前半で学習します。
●そして、組み合わせを構成する複数の知的財産が、それぞれどの程度貢献するのかを求める方法には、一般に合理的とされるシャープレイ法という有力な方法があり、授業の後半ではそれについて学習します。
といった具合です(何のことか分からない人も、まだいらっしゃるかもしれませんが、ご容赦ください)。
本授業の特徴は、業界でも様々な議論や新たな試みがなされているこのような分野についても、最前線の情報を学ぶことができること。
何度も繰り返しになりますが、実務の第一線で活躍するプロフェショナルを教員として招聘している本学ならではの授業です。
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