今回は伊藤忠商事株式会社理事の松見芳男氏をお迎えして講演して頂いた。
福井県小浜市(米オバマ大統領の件で有名)のご出身である事や、作家司馬遼太郎さんのロシア語通訳を務められた事、62歳から始めたボクシングの事など、エネルギッシュに話されている姿がとても印象的だった。
現在は伊藤忠商事の先端技術戦略研究所長でもあり、文系出身というバックグラウンドにも関わらず、世界中を飛び回りながら科学技術の最先端分野でバリバリと仕事をされている。
まず始めに、医薬品の2010年問題が叫ばれる中、20年~30年後の新規ビジネスの可能性を常に模索していかなければ、どんな大企業でもすぐに無くなってしまうと危惧されていた。
「企業・国が単独で問題を解決できる時代は終わりました。これからは協調と協力が求められます。そのために最も重要となるのが人との出会い・交流です。画一的な内向き志向ではなく、多様的な知の交流が益々盛んになっていく事が予想されます。向こう(海外)から人やお金はやってきません。こちらから海外に出かけていってアピールしないと、日本の国際競争力さらに低下していきます。」
日本の基礎研究は世界トップクラス(特許出願数・論文発表数)だが、それをビジネス化して社会還元していく力が不足していると繰り返し強調されていた。
「医療・バイオ・IT・ナノテク分野で、産官学が連携してイノベーションを起こしていかなければなりません。そのために世界中のマーケットニーズ・顧客データを持っている総合商社を活用してほしいと思います。総合商社の強みとして売上高30兆円規模のマーケティング&セールス力にあると考えます。」
世界中に散らばる優秀な研究者や先端技術を仲介するハブ的な役割が日本の総合商社に求められている。
今後は、KIT虎ノ門大学院の客員教授としても活躍される予定で、
「皆さんにお会いしたのも何かのご縁です。ご質問やご意見はもちろんですが、飲み会のお誘いでも何でも構いませんので遠慮なくご連絡下さい。」と最後を締めくくった。
人との出会いを大切にする松見氏の優しさと人間としての大きさを感じさせる講演となった。
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