「社会起業家-新しいビジネスモデルとしてのNPO-」第22回KIT虎ノ門サロン

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第22回虎ノ門サロンは、あいにくの雨の模様の中ではあったが、虎ノ門キャンパスでは工藤啓氏による熱意溢れる講演が繰り広げられた。

今回は、~シリーズ(「エコ・環境、ロハス・スローシティ、社会起業家そして・・・」その2)~として、NPO法人「育て上げ」ネット 理事長 工藤啓氏にお越しいただき、「社会起業家 -新しいビジネスモデルとしてのNPO-」と題して、ご自身がなぜNPOを立ち上げようと決意したのか、またNPOとは一体どのような団体であり、最近耳にする社会起業家とはどんなものなのかについて、工藤氏の率直な感想とともにお話頂いた。

開口一番で工藤氏の口から飛び出したのは、「NPOの立ち上げはお勧めできない」という言葉だった。最近では各大学などでも学生達に社会的起業家としての立場から講演することも多いというが、その場でも学生達には「ソーシャル・アントレプレナーなんてかっこいい名前とは裏腹に、その運営の難しさと生半可な気持ちでは決してやらない方がいい」ということを話しているということだった。また工藤氏はもともと自分自身で持っていたビジョンやミッションをどう実現できるか模索した結果がNPOという形になったということで、特にNPOへのこだわりなどはなかったという話もあった。

そんな中で特に印象に残ったのは、NPO団体などに対する国を挙げての支援が、お隣韓国などでは非常に進んでおり、このままでは日本は直ぐに追い越されてしまうという話だった。韓国では社会的起業認証制度が進んでおり、NPO団体の活動に対しても非常に理解があるということだった。また、欧米諸国では既に企業がそれらNPO団体へ投資することがCSRとしての取組の一貫にもなっており、社会貢献として取り組みが確立されているという話が合った。

文化の違いは大きいが、やはり日本においても価値ある取り組みをされているNPO法人は沢山あり、しかしながらそれらの取組に対しての国民の理解や、企業との繋がりといったところは、まだまだ進んでいないのが現状のようだ。

「育て上げ」ネットでは、最近はそのような企業からの支援をもらいながら、様々な活動を行っているとの話があったが、その大半は外資系企業からの支援が多いという話があり、是非これからは日本企業においても、CSRの視点から、一緒に何かできればと思うという言葉があった。しかしその原因としては、企業とNPOを結ぶ言わば「つなぎ」を行ってくれるような人材が不足しており、なかなかうまく進まないという悩みもあるようだ。

最後にショッキングな数字を耳にしたが、若年層とは年代的に何歳から何歳までのことを言うでしょうかという質問があり、私は頭の中で大体二十歳前後のことだろうと思っていたら、15歳~34歳までがそれにあたるということだった。工藤氏が大学生や高校生などに話をしていると皆その内容に驚くということだったが、確かに高校生くらいだと、自分の親がまだ若者の部類に入っているという衝撃を受けてもおかしくない。

今回のサロンも、あっという間に時間が過ぎてしまい、予定の時間をオーバーしても、会場からはさまざまな質問が飛び交い、終了後も名刺交換などで盛り上がっていた。是非まだ機会があれば虎ノ門サロンでお話頂きたい。

次回の虎ノ門サロンでは、明治大学理工学部長である向道政男氏nお越しいただくことになっている。日時:6月25日(水)19:00~

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