季節も一気に秋から冬に変わってきた感じのする東京虎ノ門ですが、秋の紅葉を楽しむ時間が少なかったように思えます。本校がある金沢ではこの時期は金沢独特のどんよりした空模様が続いておりますが、金沢の兼六園などでは、この時期から雪ずりの姿を楽しむことができるようになります。
さて、今回のタイトルにあります「ビジョン 2057:21世紀のエンジニア教育」とは、先週水曜日と木曜日に金沢の本校で行われました国際シンポジウムのタイトルであり、アメリカからは、ロチェスター工科大学、ローズハルマン工科大学の学長、副学長、学部長がそれぞれ来られ、またシンガポールからは、シンガポール理工学院の校長、そして韓国よりソウル産業大学の総長や学部長の皆様が、この二日間日本の金沢工業大学へ集結し、各大学の50年先のビジョンについて語り合いました。
また、そのイベントに先駆けて、金沢工業大学とアメリカのロチェスター工科大学、ローズハルマン工科大学の各学長へ、名誉博士号の学位記が贈呈されました。これは、長年にわたり、本学との学術交流に尽力されたこに対して贈られたもので、両大学とは今後も引き続きさまざまな交流を深めていければと願っている。
そして、国際シンポジウムでは、各大学の中期的・長期的戦略についての話があり、各国々での現状調査や、それに伴う各大学の動向などについての話があったのち、あまり詳細についてはお話しできないが、シンガポール理工学院では、今後技術者教育には単に技術分野を追求するのではなく、ビジネス・経済・社会・歴史などの幅広い分野を知ることにより、より国際社会で活躍しうる人材を教育していかなければいけないとして、すでに独自のカリキュラムを展開していた。またその他の大学においても、非常に似通った内容の話であったことは、事前にみなさん打ち合わせでもしたのではないかと思うほど、同じような意見や考えをそれぞれが持たれていた。その中で、一つ皆さんが声をそろえて言っていたのは、やはりコンピューターが誕生したあとに、教育に対する非常に大きなパラダイムシフトがあったということだった。それは、これまでの教育手法や教育コンテンツといったものが、一気に通用しなくなったことであり、特に工科系大学においては、今では一人に一台のパソコンは当たり前のようになり、更には情報は全てネットからとってくるような時代にもなった。そんな中、これまでの教育コンテンツでは限界が生じたという話があった。確かに技術の進歩はある時期から一気に加速し、今もその加速は続いているように思える。
そんな時代の中で、大学に求められる人材育成とはどういうものなのか、また社会に貢献しうる大学作りに必要なものはどのようなものがあるのかなど、この国際シンポジウムでは非常に熱のこもったスピーチが続き、またその後行われたパネルディスカッションにおいても、時間を少々オーバーして、とても実り多い2日間であったことは間違いない。
今回は金沢工業大学学園創立50周年記念 国際シンポジウムでもあり、これからの50年を考えるにあたり本学にとっても非常によい機会となった。今後益々の各大学における発展と、活発な交流が行われることを祈っている。
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