今回行なわれた読書会の書籍は「The war for talent/人材育成競争」でした。この書籍は、リーダー層やマネジメント層などをターゲットとしていて、米国の大手企業や中小企業のデータを元に書かれた非常に価値のある本ということもあり、修了生の”リーダー層”、”マネジメント層”に携わるメンバーが集まった。
今回のモデレーターは修了生の駒井さんが行い、殿村教授も参加となり、限られた時間での読書会だったが大いに盛り上がった。
参加者には事前にワークシートを配布し記入してもらった。そのワークシートを駒井さんが集計し、当日の討論にて統計データも基に論議が進められた。まず今回は著書の中から抜粋したクオートのなかの一つを取り上げます。
「会社に差をつけるのは人事のプロセスではない、その会社のリーダーたちの意識なのだ」(p20)と書かれていて、この提言に賛成か反対かの意見を元に議論した。
まず、”条件付賛成”の白石さんは、
『人材の重要性に対する意識は、有効な人材管理の必要条件である。リーダーたちの人材に対する意識を欠いていては、どのような人事プロセスを開発・導入しても機能しない。その結果、優秀な人材のモラルの低下と流出など、組織にとって致命的な問題につながる。だだし、リーダーたちの人材に対する意識だけでも、有効な人事管理としては、不十分である。組織の状況に応じた人事プロセスなくしては、有効な人材管理はできない。』
この問題の回答では、ほとんどが「“条件付で”賛成」を選択した。ただ一人殿村教授は「反対」意見となった。その理由としては、
『リーダーの意識は重要だが、これまでの人事プロセスを変革するような新たなプロセスの定義も非常に重要である。特に、本書にも引用されているラリー・ボシディ氏がその著書 Execution(「経営は実行」、数年前の全米ベストセラー)で述べているように、戦略プロセス、業務プロセスと並んで、トップのコミットメントにもとづいた(幹部社員の厳しい選別プロセスを含む)人事プロセスの明示化はWar For Talentの時代にあっては必須と考える。そのようなプロセスの明示化なしには人材マネジメントの選択と集中が定着化しない、あるいは公正な運用が損なわれる恐れがあるからである。』
『賛成したほとんどの人は、人事プロセスも大切であるとの条件付でした。やはり、ここでの問題では、賛成・反対の論点を争うのではなく、両方の“バランス”or“コンテキスト(文脈;背景,情況)”が重要と考えられる。その理由としては、それぞれの企業の風土や状況、培ってきた経営など、企業によって優位性が異なってますからね。』
とモデレーターの駒井さんが一つ目の論点をまとめた。
(続きます)
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