「デジタルコンテンツマネジメント特論」は毎週金曜日の6限(20時30分~22時)に行われている。講師はタイトルにも掲げた本年(2006年)アカデミー賞を総なめ(13部門受賞)した「Always三丁目の夕日」の山崎監督を始め、TBSの連続ドラマの「タイヨウのうた」の都留プロデューサー、佐々木プロデューサー、ポケモンプロデューサーとして著名な小学館の久保氏、ソニーミュージックエンタテインメントの契約本部長の高嶋氏、ジャパンデジタルコンテンツ信託の土井社長などいわゆるコンテンツ業界の著名人が目白押しだ。
正直に言って金曜日のこの時間に毎週講義があると「飲みにケーション」的には非常に差し障りがあるのだが(笑)、それを切り捨てても上回る内容を誇っているといえるだろう。
この科目は今年初めての開講科目である。この科目を開講したのには理由がある。というのは、「知的財産」と言ってもそれを扱う企業は、非常に大雑把に言えば、技術を中心とするハード系(特許系)の企業とコンテンツを中心とするソフト系(著作権系)の企業に大別される。本学の開講当初は「工業大学」という名前もあっていわゆるハード系企業の入学者が中心であった。しかし、その後、コンテンツを扱う企業(レコード会社やテレビ局)の方の入学が少しづつ増えたため、コンテンツを扱う企業側のニーズにも応える必要がでてきたのだ。
この講義では、多彩なゲストを招く一方で一つの重要な視点を最初に提供していた。それは、様々なコンテンツ業界における、共通点は何か、逆に相違点は何かを見極めた上で、あるコンテンツ業界(ゲーム業界)の一つの成功事例を抽象化してモデル化し、それを別のコンテンツ業界に応用できるかどうか、あるいはコンテンツ業界以外の業界にまで更に広げて応用できるかどうか等について検証する、という視点である。
実際、映画業界(具体的にはハリウッド)における映画の利益を最大化するためのウィンドウ戦略(例:劇場公開→パッケージ商品→有料放送→無料放送と時期・段階を追って「窓」を変えて収益を上げる戦略)は、同じ映像業界であるテレビ業界においても応用され、現在はテレビドラマのDVDの売上というのが相当な規模になってきている。
大学院の講義であるから、当然のことながら単に様々な講師の話を聞いて「面白かった」だけでは困る。講師陣の話の中から一般的法則・抽象化され応用しうる法則の発見というのが重要な視点となると考えており、この科目の最後にはそのようなレポートを出してもらう予定だ。
コメントする