毎日新聞の12月6日の朝刊に金沢工業大学の教育改革について取り上げられた。結構いろいろな雑誌などで紹介され、このブログでも何度か取り上げてきたが、どこの記事を見てもやはり目に付くところは同じだ。「就職率」、「地方の大学」、「それほど高くない偏差値」、どの記事を見てもこの3点は目に付く。嫌味に聞こえているわけではないが、そんなに強調しなくてもいいじゃないかと言う感じもたまにうける。どれも事実だが、地方だから就職率がそんなに左右されるのかといった疑問もあるし、偏差値をまだ引きずっているのでは、本当の意味での大学改革はおそらく難しいだろう。
「学生を元気にする金沢工大」というフレーズも結構耳にしたりもするが、確かに夢考房などで物作りに励んでいる学生達は元気がいい。おたくっぽく見えると言う人もいるかもしれないが、実際参加してみればよくわかるが、夜遅くまで機器の調整をし、休みの日も物作りをやっている。レースや試合などがあるプロジェクトでは、毎晩のようにグループミーティングが行われ、根性や努力だけではなく、コミュニケーション力、リーダーシップ力、行動力、考察力、チームワーク、その他全てがそろわなければこのプロジェクトをやり遂げることは難しい。それらの教科書からは学べない人間力を、学生達は自分達自身で身につけている。
また、金沢工業大学の学生達はよく人と話をする。これは、常にグループなどで問題に取り組み、人の意見を聞き、また自分の意見もしっかりと相手に伝えられるようにするための仕組みが授業の中や、課外活動の中に組み込まれているからだ。これは実際就職の際にも非常に重要であり、面接官の質問にも自分の意見や考えをちゃんと伝えられるようになるためのものでもある。
就職率99.6%、ほぼ100%に近いが、この数字を無理やり伸ばそうと思えば、おそらくやってやれないことはないかもしれない、しかしそれでは学生の満足度を高めることは出来ない。この数字は、そのまま学生満足度数にも当てはまるような環境をこれからも作っていくことが必要だと思う。まだまだ教育改革も始まったばかりだが、その答えは学生達が出してくれているように思える。
毎日新聞の記事の中で、金沢工業大学は「専門大学」のお手本的存在になるのではないかと書かれていた。専門大学とは、いわゆる実践教育重視の大学と言ってもいいかもしれないが、確かにこれらの教育改革のほとんどが実践的教育内容が多く含まれている、また学生達の自学自習のサポートにもかなりの力を入れていることも事実だ。だが、研究分野においても、金沢工業大学では、研究支援機構を始め、多くの研究施設を持っており、海外との共同研究なども数多く行われている。今は特に教育にスポットライトが当てられているようだが、教育と研究は両方とも大学にとっては欠かせない使命であり、金沢工業大学も決して教育重視の大学ではないことをここで言っておきたい。
大学のある部屋にこのような言葉が書かれた額が飾られていた。「なくてはならぬ人材を求めて・・・」。これからも、日本に「なくてはならぬ人材」を送り出して行く。
コメントする