社会人をターゲットとした大学院は現在急増中だ。はっきりいって大学経営も今後更に難しくなってくる今、このように顧客を社会人として、新しい集客に目を向けなければいけなくなっている。だけど、我々が提供しているサービスは教育であって、その価値観と言うものは院生一人一人違ってくるように思える。我々がいくら目新しい科目や、教授陣を招聘しても、実際授業を受けた院生が目標を持って知識を知恵に変える努力をしないと教育上の価値観を上げていくことは難しいかもしれない。
難しいことをだらだらとしゃべってしまったが、私が通っていたアメリカの大学院では、そのほとんどが社会人であり、授業も社会人向けの実践的講義ばかりだった。どこにも社会人向けなんて書いてもいないし、でも授業内容はディスカッションがほとんどで、その内容は実際の職場での話や出来事を取り入れたものばかりだった。はっきり言って職場経験が薄い人にはかなり厳しい授業ばかりだった。逆に、現在仕事をしながら更にレベルアップを図ろうと思っている人達には絶好の場所だとも言える。
日本の大学院もこれからますます社会人で大学院に通い、自己のレベルアップに努めようとされる方が増えてくるように思える。今のままでは物足りない人や、自分の足りない知識領域を埋めたい人など、さまざまな方が今後この社会人大学院に目を向けるのではないだろうか。
その中で、この知的創造システム専攻では、個人の知識領域の拡大はもちろんの事、人としての力(人間力)をさらにアップさせ、職場での個人の能力を更に発揮させるだけではなく、職場のリーダーとしての能力を磨き、総合的な人間力の育成を目指している。これは、本校の金沢工業大学が行っているものでもある。
まだまだこれからの領域でもある社会人向けの大学院だが、一つ分かっていることは、社会人の院生の皆さんは、卒業を目的として入学しているわけではないということ、大切な時間とお金を使ってきている分、大学としてもテストなどの点数による配点区分などでの評価はなかなか難しい、もっと知識が本当に身についたのか、またその知識を今後どのように生かして行くのかを、院生自ら答えを出してもらい、それらの知識獲得までのプロセスや、自分自身の成長記録のようなものをもっと評価していくべきだと思う。そこで生まれたのが、ポートフォリオインテリジェンスという新しい教育手法であり、社会人大学院だからこそこのような教育が生かされるようにも思える。社会人向け大学院が提供するその教育サービスには、今後ますます注目が高まりそうだ。
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