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小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

アジアの大学院での貴重な体験

カテゴリ:環境土木工学科
2009.09.15
 

環境土木工学科 徳永 光晴 教授 徳永先生は大学で応用数学を専攻された。それが、現在は環境土木工学科で教鞭をとられている。「数学」と「土木」を繋ぐものは何か?

 その答えは「リモートセンシング」。

 リモートセンシングは人工衛星のデータを解析して地球環境と資源を調べる技術。宇宙から撮影された可視光、赤外線などさまざまな種類の膨大データを分析するには数学の知識が欠かせない。

――大学で数学を勉強して、就職したのは資源探査会社だった。

 「資源の探査を人工衛星でやりたいということでした。すぐやらされたのはアメリカの砂漠地帯での金鉱探しでした。金鉱が見つかった地域のデータから、新しい未発見の金鉱を見つけることができないかと一生懸命研究しました。

 データ分析というのは結局全部数学。画像処理もデジタルの数字が意味を持ってくるのは結局、数学なのです。

 私は大学でコンピューターを使って微分方程式を解くのに熱中していました。紙と鉛筆では解けない方程式なのですが、コンピューターを使うと当たらずとも遠からずの答えが出てくるのです。それが面白くて・・」

――それで金鉱は見つかったのですか?

 「金はあったのですけれども、残念ながら含有量が少なくてペンディングという形ですね。金というのはトン当たりに何グラム入っているかという世界ですので」

 その後、徳永先生は東大の生産研究所に移り、そこで研究員から講師となる。2002年からKITに来られた。その直前の東大時代、徳永先生は貴重な体験をしている。タイにあるアジア工科大学(AIT:Asian Institute Technology, http://www.ait.ac.th/)に3年間も派遣されたのだ。

――AITは日本ではあまり知られていませんが、どんな大学なのですか?

 「ちょうど50年前の1959年、当時のアジアの経済協力組織によりバンコクに設立された国際大学院大学です。当時、アジアには理系の大学院がなくて優秀な学生は日本か欧米に行かないと高等教育が受けられなかったのです。いろいろな国の寄付でできていて,もちろん日本もそれなりのお金を払っています。

 国際大学ですので、中は全部英語、当時の学長はフランス人でした。教員は欧州、米国、日本、アジアと本当にさまざま。私は向こうへ行ってかなり鍛えられました。

 会議なんかは日本の会議と違って、もう皆言いたいことをワーッて言う。議長はどうやってまとめるのかなと見ていると勉強になります」

――アジア中から集まった学生を教えられていかがでした?

 「僕なんか帰国子女でもないから英語は上手いわけないです。拙い英語で授業をしていると、学生は分からないところがあるとすぐ手をあげて"そこ分かりません"と言って来ます。授業中に質問がガンガン来ます。

 そうすると、こちらもあそこはちょっと説明が足りなかったなと次はもっと細かく説明したりして。学生たちもそうやって次第に理解していくわけです。

 最初の年の学生アンケートに"徳永はリモートセンシングの専門家で詳しいけれど英語は下手だ"と書かれた時はショックでした(笑)。自分でもそう思っているけどはっきり書かれるとね」

――イギリスやアメリカのネイティブの先生にぺらぺらと早口でやられるより、アジアの先生がゆっくり話したほうが分かりやすいということはないのですか?

 「それは微妙です。やはり正しい発音をしている人が一番分かりやすい。日本人はやはり日本製英語ですから。一度、アメリカ人の友人に"お前、俺が話している英語分かっているのか?"と聞いたら、"分かるよ。だけど英語と思って聞いていない"と言われて(笑)
がっかりしちゃった。

 だけど、英語が面白いのは、だからといって僕が外国へ行って授業をやっていけないなんて話はないわけです。フランス人もフランス語のような英語で授業をしていました。要は何を喋るかが大事なんです。僕が感じたのは下手な英語だけれども面白い話をするとみんな熱心に聞いていたことです。」

――AITに行かれたことは御専門にも影響がありましたか?

 「人脈ができたことは大きいです。僕はバングラデッシュでリモートセンシングを使いヒ素汚染解決の研究もしています。ヒ素を分解してくれる微生物を使うのですがどの地域が適当かなどを探すのですが、現地ではAIT関連の人脈は生きてますし、知らない人でも元AITの教員だったといえば話が通りやすい。日本の大学の名前を出してもこうはいきません」

リモートセンシングを都市へ応用

これからはリモセン技術の都市への応用と語る徳永教授 徳永先生が現在、注目しているのはリモートセンシング技術の都市への応用。解像度が上がったため、変化の激しい都市問題にも適用できるようになったという。さらにIT技術を使い、現実と仮想情報を組み合わせた三次元システム「バーチャル金沢」といった面白いプロジェクトも進行中だ。これらはまた別の機会に詳しく紹介しよう。

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