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小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

2015年10月 アーカイブ

電子情報通信工学科 前田 正彦 教授 前田先生はNTTで半導体の「超高速」、「超微細」、「超高集積」と技術の最先端を追いかけ「いかにして作るか」の「how」の世界を経験して来られた。KITでは「how」と同時に一歩立ち止まって「どうしてそうなるのか」の「why」の世界も考えて行きたいという。

----先生は東京のご出身ですが北海道大理学部で化学を学ばれました。きっかけはあったのですか?

「父親の転勤で北海道に行きました。高校の時はおおざっぱに物理とか化学など理系の科目が好きでした。大学で研究室の配属の時に化学の方に。北海道大学には触媒研究所があって触媒研究が結構昔から盛んだったのです。授業でその関連の話を聞いて興味を持ちました」

----北大で化学というと、2010年にノーベル化学賞を取られた鈴木章名誉教授が有名ですが講義を聞かれたことはあったのですか?

 「鈴木先生は工学部の応用化学なので、残念ながら私は授業などでお世話になったことはありません。数年前にたまたま学会で北大に行った時に受賞のお祝いの垂れ幕が下がっていました。北大でノーベル賞は初めてでした」

----先生は理学部の化学ご出身というと工学部より基礎的だったのですね。学部や修士の研究はどのようなことを?

 「触媒表面のガスの吸着状態を調べるという内容でした。ガスを反応させて有用な物質を作るのですが、どうしても触媒が必要なのです。詳しく言うとまず触媒の表面にガスを吸着させます。その吸着した表面上でガスを反応させて化合物を作るというステップです。

 具体的には例えば触媒の白金の表面に一酸化炭素(CO)を吸着させて、アルコールやアルデヒドなどを作っていくのですが、その最も初期の段階で一酸化炭素が白金表面にどういう状態で吸着するのかを調べました」

----かなり基礎的な化学の研究をなさったのに就職は日本電信電話公社(現NTT)に入られます。なにか理由があったのですか?

 「私が学部を卒業したのは1975年で、その時は第一次オイルショックの後遺症で化学会社の求人など一切ありませんでした。全滅です。ちょっと前、就職難と騒いでいましたが、あんなものではありません。そこで修士に2年行ったのですが、就職状況は多少改善されていました。それでもまだ化学系は厳しかったです。そこで講座の先生に相談してNTTの研究所の方にお世話になったのです。当時はまだ電電公社といいましたが」

----電電公社ではどのような研究を?

 「電電公社の電気通信研究所は当時、幅広くいろいろなことをやっていました。これは今でもそうかもしれません。私は化学の出身だったので配属希望の際に材料関連、高分子、金属という3分野の研究室を希望しました。ところが全部蹴られたというか全く考慮されないで言われたのが集積回路の研究部だったのです。これには驚きました(笑)」

----電電公社がIC(集積回路)を作ろうとしていたのですか?