小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

2010年12月 アーカイブ

機械工学科 中田 政之 教授 ドイツ南西部、フランクフルトの近くにカイザースラウテルン(Kaiserslautern)という人口約10万人の小さな街がある。日本ではほとんど知られていなかったが、2006年にFIFAワールドカップの一次予選がここで行われ日本がオーストラリアに破れるという「悲劇」があったため、サッカーファンを中心に結構知られるようになった。中田先生はこの街にあるカイザースラウテルン大学( http://www.uni-kl.de/5098.html?L=1 )複合材料研究所に招聘教授として留学した貴重な経験がある。

——先生はその研究所に2001年から2002年にかけて行かれていますが、どんな研究所だったのですか?

 「材料に力を繰り返し加えた時の疲労強度の解析シュミレーションをやっている研究室にいきました。自動車とか飛行機というのは、走ったり停まったりでその度に複雑な力が構造にかかりますよね。そういう複雑な負荷がかかった時の疲労寿命をシミュレーションで計算する方法を研究しているとこでした。実験設備もいろいろ整っていてシミュレーションと実験と両方できるところでした」

——そうした基礎的な研究はやはりヨーロッパが強いのですか?

 「ヨーロッパは重点的にある課題に特化した研究所が結構あるのです。私が行ったとこは複合材料だけの研究所です。KITの“ものづくり研究所”は3階建てですが、カイザースのそれは5階建てで、面積は“ものづくり”の2倍はあったと思います。研究スタッフだけで120人いました。この研究者たちは教育は一切しません、研究だけで良いのです。

 その頂点にプロフェッサーと呼ばれる人が3人いて、その方たちは大学の教授であり、研究所のプロジェクトリーダーでもあります。研究費を取ってきたり、外部から研究テーマを見つけてきたりと、そのような仕事をしてます。組織は完全にピラミッド型でプロフェッサーの下にチームリーダーがいてさらにその下に研究員がばーっと並んでいるという感じです。

 私がいた頃、研究費は半分は国の助成金、半分は民間企業。それで120人分の給料も賄っているから、大学から補助金一切なし、大学とは完全に独立の組織となってました」

——そうすると複合材料の研究では世界有数ですね。

 「私の見るところ、あれだけ揃っている所はないです。ドイツはそれぞれの大学が特色を出しているのです。

 アーヘン工科大学では高分子材料だけに特化した研究所があります。それから新谷先生( http://kitnetblog.kitnet.jp/koizumi/2009/04/post-10.html )のお弟子さんの加藤 秀治先生はアーヘン工科大の加工関連の研究所に行ってました。加工関係も有名です。その他、カールスルーエ大学だったら原子力といった具合です」

——民間からの研究費はどんな企業からもらってくるのですか?