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小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

主軸が人間のロボット開発を

カテゴリ:ロボティクス学科
2017.04.16
 

ロボティクス学科 竹井 義法 教授 竹井先生はロボット開発がご専門だが、研究している分野は「匂いセンサー」、「ガス源探査」、「ドローン」、「二足歩行」さらに「節電義手」や「農業支援」など実に多種多彩だという。さて、どこまで紹介できるだろうか。

――先生は九州のご出身で福岡大学工学部電気工学科、九州大学大学院を経て、縁あって2003年からKITに来られました。最初に電気工学科を選んだ理由は何ですか?

 「もともとロボットをやりたいというのはあったのですけれど、すぐに制御関係を考えたのですね。制御工学という分野があるのを知り勉強したいと思ったのです。もちろん機械工学科でもよかったのですが、機械よりも電気の方が制御分野の研究をしている研究室があったというのが最初のきっかけですね」

――もともとロボットをやりたいという動機は何だったのですか? やはりウルトラマンとかガンダムですか?

 「アニメーションを見てというのは多分、幼稚園ぐらいの時だったと思います。実際、大学入試を控えた時に、いろいろな大学の案内パンフを見て、当時2足歩行のロボットの研究をしている大学があって、制御分野の研究は面白そうだと」

――高校生としてはずいぶん、しっかりしているというか、地に足がついているというか。素晴らしいですね。

 「とにかくロボット、それもコンパクトなものを造りたいとも思っていたのです。実際に学ばなければいけないものとは必ずしもリンクしてはいないのです」

――高校、大学、大学院時代はずっと九州で、KITに入って初めて九州を離れたわけですね。もっと若い時に地元を離れようという気は無かったのですか?

 「これは全然無かったです。九州の人間には比較的多いと思うのですが、地元を出る気があまりなかったです。金沢に来た時は、だいぶ遠くまで来たなという気はしましたが(笑)。今はもちろん遠いとは思っていません。気候にも慣れました」

――ロボットから現在は主に「匂いセンサー」の研究をされているのは?

 「人間は五感を駆使しますが、今のところロボットが感じ取るのは通常、視覚、触覚、聴覚の三感であり、味覚、嗅覚の応用は少ないのです。そこで人間の嗅覚に相当する匂いセンサーを研究しています。

具体的には、この技術をガス源探査ロボットや、火災の発生源の早期発見ロボットに応用し、生活支援などに活用したいと考えています」

――ガス源探査とはどんなものですか?

 「例えば、むき出しの配管があって、どこかに亀裂がありガスがぱっと出ているとします。目視しても分からないような状況で出ている箇所を探しだすことができるようなロボットです。

 それから、別の問題があって難しいのですが、地雷を探査するのに犬を使ったりすることがあるので、その替わりとなるようなロボットもあります」

――具体的にはどのように研究するのですか?

 「実験室の中でやる時に、ものすごく危険なものを流しながら実験するというのは難しいので、危なくない消毒用エタノールを流して、そのガス源に対してロボットをどのように誘導するかという研究をやっています。

 そうするとセンサーは特別なセンサーではなくてエタノールセンサーを使い、ロボットは嗅覚だけを頼って発生源を探していく。そういう研究を移動体を使ってやっています」

ドローンも研究

――ドローンを使った研究も始めていると、うかがいましたが。

 「はい、これまでは平面内(2D)での研究でしたが、いわゆるドローンにガスセンサーをつけて、空間(3D)でガス源を探すという研究も始めています。これがとても難しいのです。

例えばガス源としてエタノールのビンを開けると、揮発するのですが、モワモワと出ているのはその周辺だけなのです。基本的には対流が起きて始めて流されて拡散していくのです。

その流れをたどっていくために、実験ではファンを置いてガスを流しています。ところがドローンでやると、ドローン自身が風を作っているので流れがメチャクチャになってしまいます」

実験機器を点検する竹井先生――それはかなり難しそうです。

 「でも大教室を使って実験しているのですが、うまく作ってやると比較的センサーの出力が指向性を持っていて、強い方向に対してきちんと応答取れるというのを検証しているのです。今はドローンそのものも作っているので、平面でやっていたことを応用して三次元のガス探索を追求しています。

他の研究者でバルーン(気球)を使って、ロボット自身はあまり気流を乱さない形でガス源探索をしている例もあるのですが。自分たちはドローンで気流を乱しつつもガス源を探すという方法に挑戦しています」

――ガス源探索は実社会においてどんな役に立つのですか?

 「例えば期待されるのは森林火災のモニターですね。森林火災の原因の一つに失火があります。焚き火の不始末みたいな。また自然発火というのはあまりないと言われていますが、原因不明と言って判断できないものもあるようです。

結局、人が巡回して回って警戒しているので、そういうところでドローンが使えるようになれば、かなり有効です。あと環境汚染防止のための定期的な環境計測などにも応用できると思います」

二足歩行ロボットを学生と点検――二足歩行ロボットも研究されているそうですが。

 「はい。高さ50cmほどの小型ロボットで、夢考房を活用した学生の手作りです。小さいですが、モータや関節の動きが多い複雑なものです。これの製作では姿勢制御や人間の構造、例えば筋肉・骨格・関節の配置や可動範囲などを考えなければならず、その取り組みは今後、いろいろな形のロボットを作る時のベースになると思います。

 こうしたロボットに取り組んでいると、基本的に人間は良くできているという話に落ち着きます。生物の動きに学ぶといった方法もありますが、我々は同じような機能を人工的な形であっても実現するような方法論を目指して行きたいと思っています」

 結局、竹井先生が研究している「節電義手」や「農業支援ロボット」は紹介しきれなかった。しかし、先生の広範囲な研究は主軸を「人間」においた多方面から生活支援できるロボット技術を目指していることだと納得できた。

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