小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

2010年09月 アーカイブ

 建築デザイン学科 下川 雄一 准教授 建築・都市の分野でもデジタル化が進んでいる。この分野、以前はコンピュータで図面を書くCAD(computer aided design)ぐらいしかなかったがデジタル化はより広く、深く浸透している。その最前線にある技術の一つがBIM(building information modeling)だ。下川先生は目下、このBIMの研究に取り組んでいる。

――もともとはCADの研究をしていたのですか?

 「はい、学部4年、修士、ドクターとCADの開発をしていました。まだ、CADが出始めの頃でしたが、このソフトはいわゆる汎用で何にでも使えますよということで機械系の人も使ってました。線を引くとか基本立体を作るという単純なことしかできなくて不便で、それをもっと建築設計者が使いやすくできないかということをやっていたのです。

 僕は建築設計は専門ではなく、そういうツールの活用法とか、新しいツールを開発したり、それによって新しい建築を実現させるプロセスに関心があるのです」

――建築CAD学のようなものはまだないのですか?

 「建築学会の中に情報システム技術委員会というのがありますが、人数的にはそれほどではありません。

 これも難しくて構造計算のためのツール開発ですと、構造系の人がそこに半分、足を突っ込んだり、デザインをやっている人がそこに半分,入ってみたりしています。逆に情報システム技術部門でどっぷりやっている人というのは構造なのか計画なのかはっきりしないという部分もあるのです」

――先生が現在、研究中のBIMはCADとはどう違うのですか?

 「今、建築業界の中でもほぼ100%、CADを使ってますが、ほとんど2次元CADなのです。昔の設計図をコンピューターに入れただけの話で、ある意味まだアナログ的な世界なのです。その情報が劣化しないとか再利用が楽だという点では便利ですが。

 本来、3次元の立体である建築を3次元記述しないまま、平面図、立面図、断面図といろいろな見方の図面を書いているわけですが、ひょっとしたら矛盾が生じている可能性がわるわけです。事実,現場ではそれによって非効率な部分が結構でてきているわけです」

――BIMはそれを立体化するわけですか?

環境土木工学科 鹿田 正昭 教授 鹿田先生はKITの土木工学科の出身。最初は土質の研究をしていたが、70年代初めの米国の地球観測衛星「ランドサット」打ち上げなどをきっかけに関心はリモートセンシングへと向かう。コンピューター、情報処理を独学で学び、今は空間情報工学という身近ながら最先端を競いあうエキサイティングな学問の真っただ中にいる。

――空間情報工学は3Sといわれる技術が柱だそうですが。

 「3SとはGISとGPS、そしてRemote Sensingの3つです。GISはGeographic Information Systemの略で地理情報システム。GPSはGlobal Positioning Systemで全地球測位システムと訳し、衛星を使って地球上での現在位置を測定します。カーナビでお馴染みですね。リモートセンシング(以下リモセン)は遠隔探査です。

 この3つはどちらかというと独立した技術と見られていました。GISは注目されて出てきたけど電子地図に特化してました。リモセンは宇宙から地球を計測して何かするという。

 それぞれ特徴というかメリットがあるわけで、これらの良いとこ取りというかコラボレーション(協調)させて世の中にうまく使ってもらおうというのが空間情報工学といえます。

――具体的にはどのようなものですか?

 「例えばICタグを使って車いすを使っている弱者を誘導しようという試みです。ICタグは眼に見えないほど小さいチップ組みこんあるタグ(値札)で、読み取り装置の電波を受けて、自分の持っている情報を発信できるもの。建物の陰にいる時などGPSで位置情報が撮れない場合があります。そのような時、ICタグを使い、車いすに読み取り装置を付けてシームレスに位置情報を得ようというものです」

――応用は広いですが、基本にあるのは測量学とおっしゃているそうですね。

 「一年生の測量学の講義の初めに “グーグルアースの技術のメインは何か?” と聞くのです。電気、電子工学、宇宙工学、画像処理とかいろいろ答えがでてきます。でも、基本にあるのは土木工学というか測量がベースになっているというと皆びっくりするわけです。

 要するに衛星で撮った画像というのは単なる画像であって、そこに地図の要素や緯度、経度とか経路の探索とか最短距離などのいろいろな情報を入れる技術は測量がベースになっています。

 測量という実際に地上で直接測った地面のデータがあるから、宇宙から撮った画像と照合してシームレスにできるということです」

全学科対象の測量コンテスト参加をよびかける鹿田教授――しかも、その衛星からの情報は精度があがる一方です。