今年度最後となった第19回KIT虎ノ門サロンでは、株式会社 シンク取締役エグゼクティブプロデューサーである竹内宏彰氏をお招きして、タイトルにもある「明日のコンテンツ- キーワードは想像力 -」と題して、これまで様々な映画やコンテンツ制作の最前線で活躍されてきた竹内氏のこれまでの活動についての説明があった後、ここ数年でメディアがどのように変化してきたのか、また現在のプロと言われるクリエーターとアマチュアの差がほとんどなくなってきており、これはこの業界にいる人たちにとっては脅威だといった話があった。
確かに、今は自分で作った動画やCGなど(コンテンツ)を簡単にWEBに載せて世界中に配信することが容易にできる時代となっており。また中には何も宣伝していないのに、口コミだけで広がり知らないうちにブームになっているといった現象はもうどこにでも存在する時代となった。つまり、今では情報はいつでもどこでもすぐに手に入り、また口コミも簡単にメールや携帯などで友人に流し、あっという間に広がる、そういったインフラが既に出来ていることになる。
竹内氏の話には、今後コンテンツ作成業界(映画等作製会社含む)は二極化が起こるのではないかとの話があった、つまり大ヒット作品か、マニアをターゲットとした非常にニッチな領域に特化した作品かどちらかに絞ったもになっていくのではないかとのことだった。つまりは、今までその間に位置していた作品というのは、今の情報が溢れるこの社会の中では存在価値を見出すことは非常に難しく、また作品の評価などもリアルタイムで行われるため、あっという間に区別されてしまうということだ。
また、日本のこうした映画やコンテンツのクリエーター達は、非常にすぐれた技術や才能を持ち合わせているが、それらを十分に発揮できるステージが日本にはまだまだ整備されていないという話もあり、現在竹内氏は、そうした若手でこの先伸びるであろうクリエーター達には、資金の援助やビジネス面でのサポートを行い、その人の持つ力を十分発揮できる場を提供する活動も行っている。今回はその中で今竹内氏がサポートしている方の作品なども一部見せてもらったが、どれもアマチュアの作品とはとても思えない映像ばかりだった。
また、最後に今回のサロンを聞きに来ていた修了生の方から、プロとアマチュアの差がなくなって来ている現代において、ではプロと呼ばれるためにはどうしたらよいのかという問いに、「やはり一度限りの作品で終わるのではなく、プロは作り続けるだけの力をもつことが重要だ」との話があった。竹内氏は、「アニマトリックス」をはじめ様々なアニメ映画を手掛け、また最近では政界からも講師として招かれるなど、その活動は本当に幅が広い。そのため、話の内容も一クリエーターの立場から、国全体の環境問題まで取り上げ、今回の虎ノ門サロンもあっという間に時間が過ぎていってしまった。