『2007年11月』アーカイブ

blog0701128.jpg今年度最後となった第19回KIT虎ノ門サロンでは、株式会社 シンク取締役エグゼクティブプロデューサーである竹内宏彰氏をお招きして、タイトルにもある「明日のコンテンツ- キーワードは想像力 -」と題して、これまで様々な映画やコンテンツ制作の最前線で活躍されてきた竹内氏のこれまでの活動についての説明があった後、ここ数年でメディアがどのように変化してきたのか、また現在のプロと言われるクリエーターとアマチュアの差がほとんどなくなってきており、これはこの業界にいる人たちにとっては脅威だといった話があった。

確かに、今は自分で作った動画やCGなど(コンテンツ)を簡単にWEBに載せて世界中に配信することが容易にできる時代となっており。また中には何も宣伝していないのに、口コミだけで広がり知らないうちにブームになっているといった現象はもうどこにでも存在する時代となった。つまり、今では情報はいつでもどこでもすぐに手に入り、また口コミも簡単にメールや携帯などで友人に流し、あっという間に広がる、そういったインフラが既に出来ていることになる。

竹内氏の話には、今後コンテンツ作成業界(映画等作製会社含む)は二極化が起こるのではないかとの話があった、つまり大ヒット作品か、マニアをターゲットとした非常にニッチな領域に特化した作品かどちらかに絞ったもになっていくのではないかとのことだった。つまりは、今までその間に位置していた作品というのは、今の情報が溢れるこの社会の中では存在価値を見出すことは非常に難しく、また作品の評価などもリアルタイムで行われるため、あっという間に区別されてしまうということだ。

また、日本のこうした映画やコンテンツのクリエーター達は、非常にすぐれた技術や才能を持ち合わせているが、それらを十分に発揮できるステージが日本にはまだまだ整備されていないという話もあり、現在竹内氏は、そうした若手でこの先伸びるであろうクリエーター達には、資金の援助やビジネス面でのサポートを行い、その人の持つ力を十分発揮できる場を提供する活動も行っている。今回はその中で今竹内氏がサポートしている方の作品なども一部見せてもらったが、どれもアマチュアの作品とはとても思えない映像ばかりだった。

また、最後に今回のサロンを聞きに来ていた修了生の方から、プロとアマチュアの差がなくなって来ている現代において、ではプロと呼ばれるためにはどうしたらよいのかという問いに、「やはり一度限りの作品で終わるのではなく、プロは作り続けるだけの力をもつことが重要だ」との話があった。竹内氏は、「アニマトリックス」をはじめ様々なアニメ映画を手掛け、また最近では政界からも講師として招かれるなど、その活動は本当に幅が広い。そのため、話の内容も一クリエーターの立場から、国全体の環境問題まで取り上げ、今回の虎ノ門サロンもあっという間に時間が過ぎていってしまった。

blog0701117.jpg本専攻の専任教授である杉光一成教授が、マイコミジャーナルへ連載記事を書かれておりますので、本日はその第二弾をご紹介いたします。

第一弾は、平成19年10月15日にマイコミジャーナルのウェブページに掲載されたものです。(1) サブタイトルは「知的財産に関する誤解その1」 - (何か起こったときに対処すればいい)第一弾にご興味のある方は、こちらをクリックしてください。さて、前回のコラムでは、知的財産についてあまり気にしていない経営者の方々を対象とした内容だったが、今回はすでに知財についてはそれなりに理解しているが、それを利用してどうしていけばよいのかわからないといった方々を対象とした内容となっている。その第二弾は、平成19年10月30日にマイコミジャーナルのウェブページに掲載されたものです。(2) サブタイトルは「知的財産に関する誤解その2」 - (知的財産はコストばかりで利益は出ない)
第一弾から引き続き、非常に内容の濃いコラムですので、ビジネスパーソンには必読です!

-------------(以下内容は掲載記事より抜粋)----------------
経営者にとっては当然のことながら、資金繰りが経営の関心事となるためキャッシュフローが気になるのは十分に理解できる。また、株主に対する責務として決算報告がある以上、「会計上の利益」を出したいという気持ちも理解できる。

しかし、このような具体的金銭的利益あるいは「会計上の利益」で知的財産の「利益」を語るのは大きな誤解である。

知的財産権は独占排他権であると言われるが、独占排他権という表現は法律的な表現であり、具体的には、他人を排除し、自分のみが独占的に実施できることを意味する。すなわち、これを経営的観点から見ると、ある会社が特定の技術、例えばインクジェットプリンタのインクに関する技術について特許権を取得した場合、その技術を他社が利用することができなくなるため、その技術の属する交換インクのマーケットに他社が参入できなくなることを意味する。これがマーケットへの他社の参入を制限できるという、経営的な側面から見た知的財産権の機能となる。

マーケットへの参入が制限された世界では、高収益がほぼ約束されるのは昔から見られる現象である。護送船団方式と言われた過去の銀行業界、今でも免許制のテレビ業界などがそれである。そもそも、独占禁止法に市場支配を禁止する規定が存在すること自体、マーケットへの参入を制限すると企業側が「利益」を出しすぎて、消費者にとって不利な価格設定(つまり高価格)がなされうるという懸念が背景にある。

もちろん、独占禁止法で規制されている方法によってマーケットへの参入を制限することは法律違反として許されない。しかしながら、規制をされていない、あるいは法律上許されている方法である限り、他社のマーケットへの参入をいかに制限し、参入障壁を築いていくかは、全ての経営者が目指すべき重要な方向であることは間違いないであろう。

マーケットへの参入のコントロールを合法的に行えるツール、まさにそれが知的財産権であり、参入障壁の形成による「自社事業の発展・拡大」が知的財産権による本来的な「利益」となるのである。
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ここ数年「ものづくり」というワードをよく耳にする方は多いのではないでしょうか。ものづくりは、単に物を作り上げるだけでなく、それらを取り巻くさまざまな領域や、ものごとを創造する、あるいはそれらを評価するなど、非常に多岐にわたる内容が含まれているが、本専攻においても、今年から始まった「高信頼ものづくり専攻」において、高信頼というキーワードをもとに、これからのものづくりに対する「安全性」、「信頼性」をしっかりと評価できる、これからますます必要とされる技術者の育成に励んでいます。

また、それらの技術者に対しても、単に技術やスキルを身につけるだけではなく、その力を社会に生かし、また事業に生かすためには、経営力や人間力といった、トータル的なマネジメント能力も必要不可欠となります。そのような面において、この虎ノ門キャンパスでは、知的創造システム専攻を設け、ビジネス・知的財産の分野のスペシャリストを育成するカリキュラムも取りそろえている。

今回は、そんな虎ノ門キャンパスの教員が「日経ビジネス TechOn!ものづくりとIT」へ連載記事を出されておりますので、ご紹介させていただきます。

tonomura.jpg第一回は本専攻の殿村真一教授による「安全・安心には技術だけでなく経営からの視点が必須」と題して、現代の日本社会における、ものづくりの現状や今既に必要とされている人材像についての話が掲載されている。確かに、一つの事柄に対して集中的に知識やスキルを高めていくことは、今の教育の流れでもあるように思えるが、ある時期からは、それ以上の能力、いわゆる経営の視点も必要不可欠になってくる。今回の連載記事では、それぞれの領域における専門家による意見が掲載されており、今後の日本に必要不可欠な人材育成のためのキーワードがいくつも取り上げられているように思う。

本連載記事についてはこちらをクリックしてください。(日経TechOn!)

季節も一気に秋から冬に変わってきた感じのする東京虎ノ門ですが、秋の紅葉を楽しむ時間が少なかったように思えます。本校がある金沢ではこの時期は金沢独特のどんよりした空模様が続いておりますが、金沢の兼六園などでは、この時期から雪ずりの姿を楽しむことができるようになります。

inter-sympo1114.jpgさて、今回のタイトルにあります「ビジョン 2057:21世紀のエンジニア教育」とは、先週水曜日と木曜日に金沢の本校で行われました国際シンポジウムのタイトルであり、アメリカからは、ロチェスター工科大学、ローズハルマン工科大学の学長、副学長、学部長がそれぞれ来られ、またシンガポールからは、シンガポール理工学院の校長、そして韓国よりソウル産業大学の総長や学部長の皆様が、この二日間日本の金沢工業大学へ集結し、各大学の50年先のビジョンについて語り合いました。

また、そのイベントに先駆けて、金沢工業大学とアメリカのロチェスター工科大学、ローズハルマン工科大学の各学長へ、名誉博士号の学位記が贈呈されました。これは、長年にわたり、本学との学術交流に尽力されたこに対して贈られたもので、両大学とは今後も引き続きさまざまな交流を深めていければと願っている。

inter-sympo1115.jpgそして、国際シンポジウムでは、各大学の中期的・長期的戦略についての話があり、各国々での現状調査や、それに伴う各大学の動向などについての話があったのち、あまり詳細についてはお話しできないが、シンガポール理工学院では、今後技術者教育には単に技術分野を追求するのではなく、ビジネス・経済・社会・歴史などの幅広い分野を知ることにより、より国際社会で活躍しうる人材を教育していかなければいけないとして、すでに独自のカリキュラムを展開していた。またその他の大学においても、非常に似通った内容の話であったことは、事前にみなさん打ち合わせでもしたのではないかと思うほど、同じような意見や考えをそれぞれが持たれていた。その中で、一つ皆さんが声をそろえて言っていたのは、やはりコンピューターが誕生したあとに、教育に対する非常に大きなパラダイムシフトがあったということだった。それは、これまでの教育手法や教育コンテンツといったものが、一気に通用しなくなったことであり、特に工科系大学においては、今では一人に一台のパソコンは当たり前のようになり、更には情報は全てネットからとってくるような時代にもなった。そんな中、これまでの教育コンテンツでは限界が生じたという話があった。確かに技術の進歩はある時期から一気に加速し、今もその加速は続いているように思える。

そんな時代の中で、大学に求められる人材育成とはどういうものなのか、また社会に貢献しうる大学作りに必要なものはどのようなものがあるのかなど、この国際シンポジウムでは非常に熱のこもったスピーチが続き、またその後行われたパネルディスカッションにおいても、時間を少々オーバーして、とても実り多い2日間であったことは間違いない。

今回は金沢工業大学学園創立50周年記念 国際シンポジウムでもあり、これからの50年を考えるにあたり本学にとっても非常によい機会となった。今後益々の各大学における発展と、活発な交流が行われることを祈っている。

blog0701117.jpg本専攻の専任教授である杉光一成教授が、マイコミジャーナルへ連載記事を書かれておりますので、本日はその第一弾をご紹介いたします。

第一弾は、平成19年10月15日にマイコミジャーナルのウェブページに掲載されたものです。(1) サブタイトルは「知的財産に関する誤解その1」 - (何か起こったときに対処すればいい)実際の経営者の皆様はどれだけ知的財産について関心を持たれているのでしょうか。あるいは、ある日突然特許侵害で訴えられたら、あなたはどうしますか?経営者に求められるスキルに、知的財産は既に欠かせないものになっています。今回のコラムではそんな経営者の皆様には必須となる内容ではないだろうか。

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ビジネスモデル特許、数十億円にものぼる特許権侵害訴訟、元・従業員からの職務発明の対価を請求する訴訟等、一般紙にも載るような知的財産に関する事件・報道がここ数年間続いており、「知的財産」というのが一般の人にとって随分と身近になったように思われる。そのため、中堅企業やベンチャー企業の経営者の間にも「知的財産」に対する関心が強まり、昔よりは随分と気を使うようになった。

しかしながら、経営者が「知的財産」について関心を持ったとしても、巷に出ている本は、いわゆる知的財産に関する「経営」ではなく、純粋な「法律」の概説書や国家資格の弁理士試験対策向けのテキストが多い。これらを手にしてしまい、最初の数ページを読んで期待した内容と異なり、「ま、いいか」となっていた人が実は多いのではないだろうか。

また、過去に特許出願したことがあっても、「何年か前に出したけど結局登録にもならず経営に影響は特になかったな」というような、「知的財産なんてこんなもんだよ」というような「思い込み」を持っている経営者もいるだろう。

しかし、待って頂きたい。本当に知的財産のことが分かっている「経営者」が今の日本でどのくらいいるだろうか。私の知る限り、誰もが知っているような一部上場企業の「経営者」の口からも「本当に分かっているのだろうか」と心配になるような話を耳にする。

そこで本連載では、経営者によく見られる典型的な「誤解」のいくつかを紹介しつつ、今さら部下には聞けないけれども、経営者であれば本来知っているべき基本的事項について解説する。
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event_title.gifあっという間に11月に突入したと思ったら、今年ももうあとわずかとなってしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。本日は来月開催となりました東京・虎ノ門キャンパス シンポジウム'07についてのご案内です。今回で3回目となるシンポジウムですが、12月5日(水)14:00~日経ホールにて行われます。
基調講演にはスズキ株式会社 代表取締役会長の鈴木修氏にご講演いただきます!またパネルディスカッションにおきましても、「今こそ求められるビジョンとマインド」と題して、以下の皆様よりお話をいただきます。皆様のお越しをお待ちしております!

東京・虎ノ門キャンパス シンポジウム'07
テーマ:「人づくり、ものづくり」

日時: 2007年12月5日(水)14:00~16:30 (開場: 13:30)
会場: 日経ホール (東京都千代田区大手町1-9-5 日本経済新聞社8階)

地図はこちら
定員: 300名
参加費: 無料
申込期間: 2007年11月28日まで
(定員300名に達し次第、申込を締め切る場合があります)
主催: 学校法人金沢工業大学
参加申し込みはこちら

「プログラム」
13:30 開場
14:00 ご挨拶
金沢工業大学 学長 石川 憲一

14:10 基調講演 「人づくり、ものづくり」

スズキ株式会社 代表取締役会長
鈴木 修 氏

15:20 パネルディスカッション 「今こそ求められるビジョンとマインド」

石油資源開発株式会社 代表取締役社長
棚橋 祐治 氏

米国スタンフォード大学 航空宇宙工学科 名誉教授
Ph.D
スティーフン・ツァイ 氏

金沢工業大学 高信頼ものづくり専攻 教授
工学博士
宮野 靖

金沢工業大学 知的創造システム専攻 教授
弁理士・博士(工学)
知的財産科学研究所 所長
杉光 一成


(モデレータ)
金沢工業大学 知的創造システム専攻 教授
株式会社ヘッドストロング・ジャパン 代表取締役社長
殿村 真一

パネリストの詳細等につきましては、こちらをクリックしてください

第18回KIT虎ノ門サロンでは、シリーズ(メディアとコンテンツの未来)の第2弾として、「Innovation in Gaming」と題し、Qエンタテインメント株式会社 代表取締役CCO(Chief Creative Officer)水口哲也氏にご講演いただいた。

salon-1031.jpg水口氏は元株式会社セガに在籍し、その間セガラリーを始めとする新しいゲームの世界を作り上げた方でもある。作品にはそのほか、「スペースチャンネル5」、「ルミネス」、「Rez」など、音楽とゲームを融合させた作品が数多くある。この音楽とゲームの融合による作品で、2002年度欧州アルス・エレクトロニカ・インタラクティブアート部門Honorary Mentionや、日本の経済産業省デジタルコンテンツグランプリ・エンターテインメント部門サウンドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭特別賞などを受賞している。また、世界で注目すべきデジタル系プロデューサーやクリエーター50人を選出する「Digital 50」にて、水口氏もその1人として表彰されている。

既に、日本でもトップクリエーターとして、自身の持つ音とゲームの融合世界において、活躍されているわけだが、今回のサロンでは、これまでの水口氏が携わってきた数々ゲームの紹介や、その他「Genki Rockets」という水口氏がプロデュースするバーチャルな世界で作り上げた音楽ユニットの紹介があった。参加者は、色々なことにチャレンジし、しかもその一つ一つに対する水口氏のこだわりや個性が反映され他作品に圧倒されるばかりだった。

また、技術の進歩が目まぐるしい中で、常に新しいプラットフォームに対応した作品を手掛けているところは、やはり現役でい続けるための苦労もきっとあるとは思うが、それ以上に、今回のサロンで水口氏の話を聞いていると、一つの作品から様々な可能性が生み出され、そこから多くの方々との繋がりができ、水口氏はそれらの機会やチャンスを決して見逃さず、常に挑戦し続けていることが、今もトップを走り続けている大きな理由のように思えた。水口氏の話の中で「ゲーム産業と他の産業とのリンクが多様な可能性を生み出している」という話があり、まさにそれを実感しながら、日々を送っているのだと思った。

今年に入り「Live Earth」に水口氏が手がける「Genki Rockets」が参加し、更には地球環境を考えるこのイベントの重要な役割を担うこととなり、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏にも会い、先ほどの話ではないが、一つのことから様々な展開が広がり、そこからまた新たな可能性をご自身で生み出して行っているように思えた。

今後もまだまだ、考えていることもあるとのことで、今後のご活躍に大いに期待するとともに、生涯現役を目指してこれからも頑張っていただきたい!

次回のKIT虎ノ門サロンは、「明日のコンテンツキーワードは想像力」と題し、(株)シンク取締役エグゼクティブプロディーサーの竹内宏彰氏をお迎えして行われる。

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