メガネやさんの店先でよく見かけた、レンズの超音波による洗浄サービス。あるいはファインバブルという泡の発生するシャワーヘッド。これらに共通するのは気泡、キャビテーション( cavitation )という現象の応用だ。杉本先生はこのキャビテーションに魅せられて研究を続けてこられた。
――杉本先生は前々回、ご登場いただいた機械工学科の藤本雅則先生( http://kitnetblog.kitnet.jp/koizumi/2021/04/post-117.html )と同じ滋賀県のご出身ですね。
「はい、しかも実家同士が車で10分くらいの所です。めちゃくちゃ近いです。藤本先生のことは学生時代から一つ学年が上で近くの研究室の人として存じ上げていましたが、お互い詳しく知ったのは私がKITに教員として入ってからです」
――それはまた、すごい偶然ですね。お二人は、高校は違いますが、同じ大学に入って、しかも同じ機械工学科。教員録でも一人挟んで並んでいます(笑)。先生は理系に進むきっかけは何かあったのですか?
「それが、特にこれといったのがないのです。中学生の頃に、先生からお前は理系やなと言われたのはありますが。何かをきっかけにとか信念を持ってこれをやりたいと決めたことはほとんどありません。
多分、数学や理科が得意だったからだと思います。勉強しなかったので英語や社会など覚えるものは成績が悪かったです」
――自然と理系に進まれたということですが、KITに来られたきっかけは"自然と"ではないですよね(笑)。
「工学系の大学を幾つか検討していて、私立の中で一番良さげなところを選んだという感じです。
良さげと言うのは金沢という街ですね。例えば福井と金沢だったら金沢を選びます。ものすごく田舎出身なので大阪と言うと大都会すぎてしまう。金沢だとちょうど良いと」
――でも、実際に来られたら隣の野々市市にあったのでちょっとがっかりしたのでは?
「いや、それはなかったです。僕らが入学した頃は大学の募集要項の送り先は金沢南局止めになっていたのです。もちろん所在地は野々市市ですが、外から見ればほとんど金沢ですよね。大学の広報の方は工夫しているなと理解していました(笑)。」
――それで KITの機械科に入られて現在の流体エネルギー関連の研究に進まれたわけは?
「大学3年の時の卒業研究の配属選びとか、工大祭の時に研究室巡りをして選びました。授業でも液体関連は分かりやすかったので興味が持てました」
――大学院では何を研究されたのですか?