2011年7月26日(火)虎ノ門キャンパス13FにてKIT虎ノ門サロンが開催されました。今回は、“硬派”経済ジャーナリストの磯山友幸氏をお招きし「組織の時代から個の時代」をメインテーマに、激変する激変するメディア・金融・教育・企業等について幅広くお話いただきました。
磯山氏は長年、日本経済新聞社にて記者生活および編集業務に従事し、最終的には日経ビジネス誌の副編集長を務められた実績をお持ちです。今春からフリーの経済ジャーナリストとして独立されました。
まず始めに、国内における産業構造の変化と、歴代の日経連および経団連会長の出身業界との関連性や、就職人気ランキングトップ企業の変遷についてお話いただき、「産業構造の変化はレベル1~3に分けることができます。いま、世の中は歴史的な転換期(レベル3)にあり、産業そのものが消える可能性があります」と警鐘を鳴らして頂きました。
メディア産業を見てみると、
「“組織の時代”が崩れ、16世紀ルネサンス期に良く似た“個の時代”が生まれつつある」と磯山氏は言います。ツイッターやフェイスブックなどで情報を発信・取得するライフスタイルが広まり、既存のマスメディアに頼らない人達が急増しています。
「田原総一郎さんのフォロワーは約28万人います。これは日経ビジネス誌を始め、各雑誌の購読者数を遥かに上回ります」、さらに「今回の東日本大震災をきっかけに、マスメディアの価値が見直されるかと期待しましたが、そうはなりませんでした。逆にソーシャルメディアの価値が高まるという結果をもたらしました」と、具体的な事例を含めながら、時代が変わりつつあるとご説明いただきました。
確実に、そして急速にマスメディアから情報を得る人が少なくなってきています。しかし、ツイッターなどのネットメディアから情報を得る場合、自分の好きな情報しか選択せず、嗜好・思考が偏るケースもあります。
このような社会的背景から、中立的な立場で情報を発信するジャーナリズム(報道)が求められています。本来、マスメディアがその役割を果たすべきですが、大手スポンサーなどの影響もあり、完全に機能している訳ではありません。
今後、マスメディアの進むべき方向性とは?
「新聞社に限らず、既存のマスメディアは全ての面において高コスト体質。これではネットメディアと勝負になりません。抜本的なビジネスモデルの転換が急がれます。さらには、それぞれの記者が中立的な立場で記事を書き、適切な媒体を選択し、適正な価格で情報を発信していかなければなりません」と、その他にも多くの問題点をご指摘いただきました。
様々な業界において、次世代のビジネスモデルは未だ確立されていません。「組織の時代から個の時代へ」つまり、これからがチャンス。ルネサンスの歴史を例にして、私達が歩むべき道、社会の方向性を指し示していただきました。
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