社会的課題の解決を目的に、その手段として事業(ビジネス)を行うソーシャルビジネス。
従来の慈善活動とも違うこうしたビジネスのあり方が、いま注目を集めています。
K.I.T.虎ノ門大学院では、新しいビジネスの潮流について学ぶ機会として、「ソーシャルビジネス特論」を開講しました。ソーシャルビジネスが登場した歴史的・社会的背景、その内容と期待される成果、及び実際の進め方について、先進的な事例と実務、及びゲスト・スピーカーの講演を通じて学びます。
担当するのは、今年新たに招聘した岡本拓也 客員教授、そして山田英二 教授です。
岡本先生は、主に高校生の教育に取り組むNPOカタリバの理事兼事務局長であり、ソーシャルビジネスの成長支援に取り組むソーシャルベンチャー・パートナーズ東京の代表理事でもあります。つまり「現場」のプロであり、「支援」のプロでもあります。また、転身前はプライスウォーターハウスクーパース株式会社にて企業再生実務に携わってこられました。
取材日のテーマはソーシャルビジネスのビジネスモデル。ソーシャルビジネスでは、直接の受益者からだけでは十分な収益を得られないことがしばしばあります。また、NPO法人の場合は、株式会社のように株式による資金調達もできません。
そこで、企業や個人、財団など支援者からの資金調達(ファンドレイジング)が必要になります。
講義では、かものはしプロジェクトやフローレンス、NPOカタリバの事例を見ながら、ソーシャルビジネスがどう事業収入や寄付収入、会費収入を組み合わせているかについて、その戦略やポイントを岡本先生から紹介いただきました。
その後、クラス全体でのディスカッションも白熱。ただ良いことをやっていれば支援者が現れるわけでないので、どう共感を得るのか、また何を対価として提供するのかといったことを議論しました。
最後には、実際にソーシャルビジネスの現場で活動している人の報酬などについても言及があり、綺麗ごとだけでは続かない、組織構築や仕組みづくりの難しさをうかがい知ることができました。