ビジネスアーキテクト専攻で1期に開講している「組織人事マネジメント要論」(1単位、全8コマ)。
講義を担当するのは鳥谷陽一客員教授。産業能率大学にて企業内教育を中心にした人事コンサルティングに従事されたのち、2001年から2010年まで、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)にて評価、報酬、組織開発など大型プロジェクトにコンサルタントとして従事してこられました。現在は同グループ内のヒューマンキャピタル部門を統括しておられます。
講義名からは「人事担当者向け」という印象をもたれるかもしれませんが、本講義の対象は、経営者やリーダーおよびその予備軍の方々。本専攻で学ぶ皆さんが対象となります。人事管理や労務管理の仕組みやシステムの詳細といった各論ではなく「報酬」「等級」「評価」「人材開発」など、人材マネジメントのコアとなる部分について、その基本概念を徹底的に学びます。
取材当日(最終日、7・8コマ目)の授業でも、経営者やリーダーが人材マネジメントの基礎や概要について学ぶ必要性について「人事部に勤めていなくても、経営者や管理職、リーダーならば人事の改革に携わることがある。その時に、経営の視点を持って、人事部やコンサルタントと接することができることが出来れば、単なるコストカットでない、人材の最大活用に繋がる」と力説しておられました。
授業の特徴は、先生からのレクチャーに加え、演習と発表の機会が多く設けられていること。受講生それぞれが現在・過去の経験を踏まえながら、課題に対する意見を発表し、議論を進めていきます。
この日の議論のテーマを例に挙げると…
「自社における評価制度と運用の現状」
「こんなときどう評価する?」(3人の異なる人材に順位をつける)
「自社にはどのような報酬制度の設計が有効か」
どれも唯一の答えがある話ではなく、また受講生のバックグラウンドも日系/外資系、事業部門/人事部門とバラバラですので、様々な意見や疑問が飛び交います。
なかでも最後の報酬制度については、金銭報酬(月例賃金や賞与、福利、退職金)のほか、非金銭報酬(仕事のやりがいや面白み、職場ルールの柔軟性)なども含めた議論がなされました。特に、非金銭報酬をインセンティブとして有効活用する意見が多く「近年、成果主義が浸透したものの、給与や賞与の上げ下げに疲れているのでは」と鳥谷先生はおっしゃっていましたが、こうしたことへの理解は、まさにリーダーにとって必須のことだと感じました。
2012年度、鳥谷先生の担当講義はこれで終了ですが、7月に「ビジネス“キャリア”思考」という公開講座を予定しています。これまでの自身のキャリアを見つめなおし、より良いキャリアビジョンを獲得していただく良い機会になると思います。毎回定員以上の申込みがある人気講座ですので、気になる方はお早めに!