2月18日~2月23日、ビジネスアーキテクト専攻および知的創造システム専攻の2011年度後期公聴会が開催されました。
公聴会とは、大学院での学びの集大成となる修士研究発表会。それぞれ30分の持ち時間で、1年以上のゼミ指導を通じて作り上げてきた修士論文やリサーチレポートの発表、さらにはKITでの学びの全てを振り返ります。
今回の公聴会レポートでは2月18日(土)公聴会から、ビジネスアーキテクト専攻の方々をご紹介させていただきます。
●はじめに若木 克仁(34)さん、研究テーマは『EQ理論を用いたBtoCビジネスにおける営業力の研究』
若木さんは、ハ―レーダビッドソンジャパンに勤務し、主に販売店への経営サポート業務に従事しています。本研究ではマーケティング業務から営業職に移られた経験をもとに、BtoCビジネスにおける営業力を科学的に分析し、その開発の可能性を探りました。
EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、こころの知能指数とも呼ばれ、本大学院のポートフォリオインテリジェンス教育にも用いられています。「問題発見力」「独創力」「ソリューション力」「プレゼンテーション力」「変革推進力」「コミュニケーション力」「リーダーシップ力」「オーナーシップ力」これら8つの要素を数値として測定し、客観的・定量的に認識できる診断システムです。
そして今回、若木さんは営業スタイルを下記2つに分類。
【PUSH型】顧客に積極的に話を持ちかけ主導的に商談を進めるスタイル
【PULL型】顧客の状況を感じ取り顧客主導で商談を進めるスタイル
それぞれの営業スタイルに対して強化すべきスキルを定量的に分析し、自社営業力の強化へ繋がる結論を導き出しました。
「今後もさらに多くの現場から分析データを集め、商談現場で活用していくためのノウハウとして確立していきたい」と徹底して日常の実務に活かすための発表内容となりました。
●続いて河野 謙三(34)さん、研究テーマは『オーディオマニア向け製品の開発と販売の立ち上げ事例研究』
河野さんは通信業界と金融業界で10年間勤務した後、それまでの実務経験を棚卸しするためにKITに入学され、昨年5月に株式会社エミライを設立し、起業されました。
今回発表された研究テーマも、その事業部門の1つであるオーディオ事業のビジネスモデルが題材です。iphoneなどMP3プレーヤーを中心としたPCオーディオブームが起きている昨今、これらをビジネスチャンスと捉え、高級オーディオ市場へ参入しました。
すでに様々なメディアで注目を集めている自社製品の販売データやマーケティングデータを交えながら、オーディオ市場の分析と傾向、エミライ社に対する顧客ニーズや行動分析を中心に発表を行いました、ユーモア溢れる河野さんのプレゼテーションは今後のさらなる発展を予感させるものでした。
●最後にご紹介するのは、河村亜津嗣さん(27)。
河村さんは、今後必要とされるマネジメント力を底上げするためにKITに入学され、放送・クリエイティブ業に従事する傍ら、月に1~2回ほど有楽町の献血ルームなどで占い師のボランティアもされています。
また最近では、ご自身が希望していたマネジメント職に近づくために新規事業部門への異動も決まり「1年間で目標とするキャリアに近づけました」との言葉が印象的でした。
研究テーマは『対面型占いをサービスと見た定量的分析アプローチの研究』
占いをサービス業と捉え、占い師の「見える化」に挑んだ独創的な研究です。当初、ご自身も占いには懐疑的だったそうですが、理論では説明できない診断を受けたことがきっかけで興味を持ち、本大学院での研究テーマとして選択されました。
研究では、主に対面型占いでの、
① 占い希望者の特性を分析
② 占いで不安は解消されているのか?
③ 占い師の適正基準の策定
などの調査・分析を行い「占い」の提供価値を測り、顧客の不安解消傾向や、占い師の得手不得手を可視化、さらには「UQ(Uranai Quotient)診断」と呼ばれる診断基準を策定されました。
今後の展望として「UQを使い、占い希望者の判断指標となるサービスの実用に向けて、更に精度を向上していきたい」と意欲を見せていました。特に女性の見学者が目立った河村さんの発表を受けて、占いに対するニーズの高さを再認識することができました、
このように、K.I.T.虎ノ門大学院 ビジネスアーキテクト専攻では、学術的アプローチはもちろん、実務において必要としているテーマ、ご自身の興味など、様々な研究テーマに対応できる教育環境を整えています。幅広い業界・職種の方々からの挑戦をお待ちしております。
今回、無事に公聴会を終えられた皆様、本当にお疲れ様でした。それぞれの現場での活躍がいまからとても楽しみです。