9月に入り、大学院の1年間も後半戦を迎え、知的創造システム専攻の講義も、徐々に専門的な知識が要求される科目が増えてきました。
企業の経済活動のグローバル化にともない、実務の第一線で活躍する知的財産プロフェッショナルは、日本だけでなく海外の法律や制度にも精通していなくてはいけない状況です。当大学院でもそうしたニーズに応える科目を揃えていますが、今回はその中でも最も重要な市場といえる米国を対象とする「米国特許出願特論」をご紹介します。
本講義を担当するのは香島拓也 客員教授。現役バリバリの弁理士である香島先生は国際特許事務所での長年の経験に加え、米国本土の大手法律事務所や製薬会社の特許部門で勤務された経験をお持ちです。
特に米国の特許法は、2011年に制定以来の大改正(Leahy-Smith America Invents Act)が行われ、いままさに変化の時期でもあるため、実務家として活躍中の先生から学べることの価値は非常に大きいと思います。
講義は復習からスタート。前回学習したポイントに関する質問が先生から出され、それに院生の皆さんが回答していく形式です。
質問は例えば「米国のコンピュータ・ソフトウェアに対する1990年代の特許保護について、Alappat事件の判例を交えて述べよ」といったもの。院生の皆さんの回答に対し、理解がさらに深まるような追加の質問や解説を香島先生が加えていきます。
その後は2013年6月に米連邦最高裁で判決が出たばかりのMyriad事件を題材とした院生さんの発表と全体での議論。続いて実物を見ながらの米国特許出願書類の要点に関する解説。
非常に盛りだくさんの内容で、あっという間の90分。3期に入り、授業内容も実務的にそして高度になっていますが、院生の皆さんも講義にしっかりついてきて、議論にも積極的に参加するなど非常に力をつけておられる。そんなことを感じた講義でした。