徳永先生は大学で応用数学を専攻された。それが、現在は環境土木工学科で教鞭をとられている。「数学」と「土木」を繋ぐものは何か?
その答えは「リモートセンシング」。
リモートセンシングは人工衛星のデータを解析して地球環境と資源を調べる技術。宇宙から撮影された可視光、赤外線などさまざまな種類の膨大データを分析するには数学の知識が欠かせない。
――大学で数学を勉強して、就職したのは資源探査会社だった。
「資源の探査を人工衛星でやりたいということでした。すぐやらされたのはアメリカの砂漠地帯での金鉱探しでした。金鉱が見つかった地域のデータから、新しい未発見の金鉱を見つけることができないかと一生懸命研究しました。
データ分析というのは結局全部数学。画像処理もデジタルの数字が意味を持ってくるのは結局、数学なのです。
私は大学でコンピューターを使って微分方程式を解くのに熱中していました。紙と鉛筆では解けない方程式なのですが、コンピューターを使うと当たらずとも遠からずの答えが出てくるのです。それが面白くて・・」
――それで金鉱は見つかったのですか?
「金はあったのですけれども、残念ながら含有量が少なくてペンディングという形ですね。金というのはトン当たりに何グラム入っているかという世界ですので」
その後、徳永先生は東大の生産研究所に移り、そこで研究員から講師となる。2002年からKITに来られた。その直前の東大時代、徳永先生は貴重な体験をしている。タイにあるアジア工科大学(AIT:Asian Institute Technology, http://www.ait.ac.th/)に3年間も派遣されたのだ。
――AITは日本ではあまり知られていませんが、どんな大学なのですか?