2017.12

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

小泉成史 (こいずみ せいし)
早稲田大学理工修士。1974年読売新聞入社。1984年マサチューセッツ工科大学ヴァヌ―バー・ブッシュ・フェロー。米国歴史博物館客員研究員。2002-06年テレビ朝日コメンテーター。03年より金沢工業大学客員教授。著書「おススメ博物館」(文春新書)など。

2009年03月 アーカイブ

ロボティクス学科 鈴木 亮一 准教授 鈴木准教授は2回、ドイツに留学している。この2回の留学には歴史的に有名なドイツ人兄弟が関係してくる。18世紀から19世紀半ばにかけ活躍したフンボルト兄弟だ。兄のヴィルヘルム・フォン・フンボルト(1767-1835)は言語・教育学者で外交官としても活躍、ベルリン大学の創始者でもある。"フンボルト理念"を提唱したことでも知られる。

 「ドイツに行って良かったなと思っていることの一つは、フンボルト理念を身をもって知ったことです。この理念は教育と研究の一体化ということで、教授はいつも最先端の研究を追い求め、最新のテーマを見つけてきて一生懸命研究し解決する。その中に学生を一緒に取り込んで、その新しい発見や問題解決のプロセスに学生を巻き込んで教育するという。これを否定する人もいるのですが、できる限り私も、学生と一緒に面白いテーマを見つけてきて問題解決を楽しもうという感じですかね」

 "フンボルト理念"はそれまでの封建的な大学を近代化する考え方とされ、事実、その後ドイツ科学は第二次大戦前まで世界を凌駕する。鈴木准教授はいわば近代大学の原点に立ち、研究と教育の関連を意識することができたわけだ。
 
 先生の2回目の留学はアレクサンダー・フォン・フンボルト財団からの奨学金による。同じフンボルトでもアレクサンダー(1769―1859)はヴィルヘルムの弟で、博物・地理学者で探検家でもある。功績は「フンボルトペンギン」や「フンボルト海流」として残る。彼の業績を顕彰して海外の優秀な学生をドイツに留学させるのがこの財団だ。フンボルト理念とフンボルト財団、ドイツの偉大な兄弟は今でも世界に影響を与えている。

 鈴木准教授はウルム大学の工学部・計測制御マイクロ技術研究所に留学した。

――制御の分野に入ったきっかけは?

 「小林伸明先生の授業がきっかけです。私はもともと数学が好きで、制御工学はすごくきれいに体系化された数学と言えます。数学の式だけで、このシステムは安定だ、不安定だというのが判定できるのです。そこが面白いと思ったのです」

――しかし、現実は理論通りにうまく行かないほうが多いのでは?