文部科学省が、「ものづくり技術者育成支援事業」に採択した本校機械工学科の『16歳からの“将来の工場長”育成教育プログラムの開発と実施』について、先ごろ同省は「目的は十分に達成された」と発表し、4段階の最上位として高く評価しました。
今回の事後評価は、平成19年度の「ものづくり技術者育成支援事業」12件と同20年度の「産学連携による実践型人材育成事業-ものづくり技術者育成-」5件の計17件を対象に行われ、最上位の「目的は十分に達成された」は9件、「目的はほぼ達成された」は7件、「目的はある程度達成された」はゼロ件、「目的はあまり達成されなかった」は1件でした。
「ものづくり技術者育成支援事業」は、熟練した技術者の高齢化や若年層のものづくりへの関心の低下といった問題を背景に、高等教育の改革に向けて、文科省が公募したものです。平成19年度に全国から総数79件(うち高専は26件)の申請が行われた中で、本校の教育プログラムが最終的に12件(うち高専5件)の一つとして採択されました。
採択後、金沢高専は、将来の工場長に必要な知識、技能、態度を涵養するため、地元企業や関係機関とも連携しながら、3年間に渡ってプログラムの開発と実践に取り組んできました。
この教育プログラムは、最終的に「創造設計Ⅰ~Ⅴ」の授業として実を結び、学生は、チームによる学校案内ロボットなどのものづくりを通じて、技術全体や生産過程を見渡し、改善提案ができる総合的能力を育んでいます。
学校案内ロボットを製作する学生
また、講義や実習に、教員と共にベテラン技術者も加わることで、日本の高いものづくり技術を受け継ぎながら、よりリアルで面白い授業を実現しました。
今回の事後評価でも、文科省は「学生自身の興味が高く、積極的に授業に取り組んで、より高い満足を得ている」と、プログラムの有効性を確認しています。
さらに、本校が創造設計の教科書と指導マニュアルを作成し、希望する高等教育機関に送付しているほか、ホームページを通じて両資料をダウンロードできるようにしていることを挙げて、「普及活動も熱心だ」と、評価しました。
本校は、この『16歳からの“将来の工場長”育成教育プログラムの開発と実施』をはじめとして、『共同と共創によるキャリアデザイン教育』『5年一貫の工学・英語協同学習とFD活動』など、先進的な教育プログラムを次々に開発しながら実践に取り組み、今年6月には独立行政法人「国立高等専門学校機構」が調査に訪れるなど、関係者からも高い注目を集めています。
先輩の熱い思いも
最後に、今回の事業に参画し、プログラム開発を背後で支えた企業の声を紹介します。
本事業に関する「企業アンケート」で、参画することがどのくらい負担になったか、という質問に対して、次のような答えが書かれていました。
「後輩の育成には労を惜しみません。先輩やOBを大いに利・活用して下さい」
教職員や学生の努力はもちろんのこと、この直球ど真ん中の先輩の熱い思いも、文科省の高い評価に反映されたのではないでしょうか。