世界が認める高専教育 ―日機連の報告書より。

昨年12月に、金沢高専を視察に訪れた日本機械工業連合会(日機連)が、「機械工業高度化に必要とされる技術系人材像に関する調査研究」という報告書をまとめました。2010_07_06a.jpg

要するに、「機械工業のレベルがどんどん高くなっている現代で、必要とされるエンジニアってどんな人だろう?」ということについて調べられたわけですね。

その中で、高専の現状や評価などが詳しく紹介されています。

まず、世界30カ国が加盟する国際機関であるOECD(経済協力開発機構)が、制度のユニークさと教育成果の点などで、高専を高く評価していることが取り上げられていました。

 

・OECD対日高等教育レビュー報告書より

「高専は国際的に広く賞賛されている。高いレベルの職業訓練のみならず、日本の製造業のニーズに良く応えている。筆者たちは、管理面、質の面、革新性の面で感銘を受けた。(以下略)」

 

絶賛です。

欧米では現在、「授業中心主義から学習者中心主義へ」と教育制度の改革が進んでいて、実習の強化インターンシップの実施職業教育の重視などを改革の柱としています。

先進各国による教育改革を、日本の高専は創立当初から先取りして実践してきているのです。

もちろん金沢高専も例外ではなく、実習を中心とした「創造実験」「創造設計」4年次のインターンシップ、キャリアデザイン教育などは、まさに欧米がめざすものであるといえます。

 

また日機連は、「若年層が減少する中、生産技術者を確保・育成する上で、高等教育機関の果たす役割は大きい」とし、中でも高専は「現在の高等教育に不足している面を地道に教育している。もともと産業界のニーズに応えて生まれた高専に、企業はもっと注目すべき」と指摘しています。

 

高専の学生数は、大学生の2%に過ぎません。

しかしながら、実際に手を動かし、モノをつくる体験を経てしか得られない、実践的で高度な技術力と知識は、高専ならではものです。

高専生は自信と誇りを持って、社会に出てほしい。

そして日本のモノづくりを支えていると自負してほしい。

そんな高専生へのエールを感じた、日機連の報告書でした。

 

2009年12月に行われた日機連による金沢高専視察の様子201_07_06b.jpg

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