第1回FD研修 教職員がCDIOへの理解深める
5月2日(金)、平成26年度第1回FD研修を金沢高専会議室で実施し、ルイス・バークスデール校長が教職員に対してCDIOの基本的な考え方を改めて解説しました。
FDとは、ファカルティ・ディベロップメント(Faculty Development)の略で、教員の教育能力の開発と向上を目指す活動の総称です。主に大学や大学院などの高等教育機関で取り入れられるもので、金沢 高専でも、FD研修を年に数回実施しています。CDIOとは「C:Conceive(正しく考える)、D:Design(設計する)、 I:Implement(実行する)、O:Operate(運用する)」の略で、マサチューセッツ工科大学などが提唱した新たな工学教育の枠組みであり、 イノベーションを生み出す人材の育成を目指す世界的な組織です。金沢高専は平成23年に加盟し、今年3月にはCDIOアジア地域会議を金沢工大とともに主 催しました。
今年度初となった今回の研修では、金沢高専が今後ますますCDIOに基づいた教育を推進し、産業界が求める実践力のある人材の育成に尽力していくことを確認して、CDIOへの共通認識を深めました。
研修会でCDIOの狙いを再認識
2月20日(月)、「5年一貫の工学・英語協同学習(CLE2)とFD活動」に関する研修会を教職員24名が参加して開催しました。
はじめに向井守教授が、今後の日程について「ニュージーランドのオタゴ・ポリテクニクとのテレビ会議や成果発表会を開いた後、文部科学省への最終報告書を作成する」と説明しました。
続いて、CDIO※の中心メンバーの一人であるデビッド・ウィスラー氏が、昨年11月に金沢工大の酒井メモリアルホールで行った講演会の映像を視聴しました。ウィスラー氏は、ゼネラルエレクトリック出身で、現在マサチューセッツ工科大のCDIOコンサルタントを務めています。
「CDIOの狙いと技術者教育」と題した講演では、まず20世紀にエンジニアが成し遂げた電化、自動車、飛行機など20の技術を紹介。これらは一つの学問領域ではなく、いろいろな専門分野が絡み合って成り立っていると説明しました。
次に工学教育について、1950年代にはエンジニアの実践能力中心であったものが、次第に科学の比重が高まり、多くの大学が研究中心に変ぼうしたと解説しました。
一方、産業界がエンジニアに求める能力は、科学ばかりではありません。ボーイング社が掲げた上位10を例にとると、筆頭は自然科学や数学の基礎知識であるものの、ほかはコミュニケーションや誠実さなど、すべて実践能力でした。
CDIOは、これらを背景にして提唱されており、さらに「学生にどう教えるか」より「学生がどう学んでいるか、本当に学んでいるか」を考えることが重要だと強調しました。
参加した教職員は、ウィスラー氏の講演を通じてCDIOの理念を再認識し、今後の教育に反映することを確認して散会しました。
※CDIOとは、アメリカのマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学など、約80校の高等教育機関が加盟する実践的工学教育組織です。日本では金沢工大と本校がメンバーとなっています。
「5年一貫の工学・英語協同学習(CLE2)とFD活動」の成果発表・審査会を開催
グローバルに活躍するエンジニアの育成を目指す「5年一貫の工学・英語協同学習(CLE2)とFD活動」の成果発表と審査会を11月22日(火)、金沢高専で開催しました。この活動は、2年前に文部科学省が「大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム」に選定したものです。
発表・審査会は、エンジニアとしての能力、知識を英語で身につけ、英語を仕事にも生かす実践的な教育プログラムの成果を報告し、部外者の意見に耳を傾けて、さらに内容を充実させるために開かれました。会場には函館、秋田、東京、石川、徳山の各高専の英語科教員をはじめ、企業関係者、卒業生、保護者、金沢工大教職員ら、約30名が訪れました。
午前中は、日本人と外国人の両教員によるチームティーチングや単独での英語授業を公開し、その後、本校教員らと歓談しながら意見交換するコーヒーアワーを実施しました。
午後からは国際コミュニケーション情報工学科5年の山本達也さんと和田憲慈さんが、ニュージーランドでの海外インターンシップについて発表。その後、外国人教員による英語での工科系専門教育やコミュニケーションを重視した少人数制の授業など、本校の英語学習の特長や研修、留学プログラムの内容をポスターにまとめて教員らが説明する、ポスターセッションを1階で行いました。
最後にダイキン工業株式会社、玉田工業株式会社、株式会社別川製作所、石川高専、同窓会こぶし会、金沢工大から6名の審査員を迎えて、公開審査会を開きました。
審査員からは「この取り組みを企画、実行し、効果を上げてきたことに自信と誇りを持ち、さらに続けてほしい」「活動内容をもっと社会や企業に向けて発信し、支援を得られれば、高専という教育システム全体への見方も変わる」など、高く評価する意見が相次ぎました。
詳細記事 1112cle2.pdf
CLE2専門教員のためのFD活動を実施
11月28、29日の両日、ニュージーランドの提携校であるオタゴ・ポリテクニクから工学科長のジョン・フィドレイ氏と英語教員のネーサン・ダンバー氏が、金沢高専を訪れました。
両氏は、山田弘文校長を表敬した後、平成24年度の本校学生のニュージーランド留学に関して、数理、工学系科目と実験、ホームステイなどについて、打ち合わせと意見交換を行いました。
その後、CLE2の将来に関わる教員へのFD活動の一環として、フィンドレイ氏が「ニュージーランドの技術教育の傾向」と題して講話し、理論以上に実技を重視する同校の教育の将来構想や科目構成などを説明しました。
同氏はまた、毎年、国際的な実践的工学教育組織であるCDIOの各種大会やニュージーランドやオーストラリアでの工学技術系会議に積極的に参加し、工学、技術教育の情報をグローバルな観点で意欲的に収集していると話しました。
続いてダンバー氏が、本校からの留学生たちの現況と今後の計画などについて報告し、終了後、英語系と工学系の教員約20名が両氏を囲み、質疑応答を交えながら和やかに歓談しました。
最後に、平成23年度の高専英語スピーチコンテストに出場した菊田楓さんと道中悠輔さん(ともに国際コミュニケーション情報工学科4年)が、全員の前で、英語のスピーチを披露しました。
北京でのCDIO Regional Conferenceに参加しました
5月8日~11日にかけて、中国・北京市で開催されたCDIO Regional Conferenceに、金沢高専からロバート・ソンガー助教が参加しました。
カンファレンスでは、米マサチューセッツ工科大学教授でCDIO創設者の一人であるエドワード・クローリー教授による基調講演がありました。クローリー教授は、工学教育改革におけるCDIOの重要性と、CDIOが定める12の基準について講演しました。
また、中国やシンガポールの大学がCDIOの一環として実践している取り組みや、学生によるプロジェクトの発表もあり、各大学におけるCDIOへの熱意がうかがわれる充実した4日間でした。ソンガー助教は「学生によるコンテナを利用した家づくりなど、おもしろいアイデアがたくさんあった。金沢高専でも参考にしたい」と話し、カンファレンスでの経験を金沢高専のCDIO推進に活用する意欲を見せました。
「授業をもっとおもしろく」外国人教員がFDミーティング
「学生が授業により興味を持って臨むにはどうすればよいか」をテーマに、各学科の専門科目担当の6人と、英会話担当の外国人教員7名が、11月2日(火)と4日(木)にそれぞれFDミーティングを実施しました。
ミーティングでは、教員一人ひとりがあらかじめ準備した資料を使ってプレゼンテーションを行いました。
電気電子工学科のハヤト・オガワ先生は、タブレットPCの授業での利用を提案し、実物を持参してデモンストレーションを行いました。その他、心理学的なアプローチを試みる提案や、体験を通じて学生の創造性を伸ばすデザイン・シンキングを取り入れた提案など、ユニークなアイデアが発表され、それぞれに意見を交換しました。
どの教員も、いかにして授業に対する学生のモチベーションを高めるかを真剣に考え、学生の興味を引き出す具体的な方法について模索しました。
各教員の発表テーマは以下の通りです。
[電気電子工学科]
ハヤト・オガワ 「Tablet PCs in the Classroom」
ボラジ・オグントインボ 「Department Integration」
[機械工学科]
ラバティー・ジェームス 「Design Intent」
アナスタシア・ライニアソン 「Bloom's Taxonomy:Cognitive,Affective and Psychomotor」
[グローバル情報工学科]
ブルース・ゲイロード 「games in the classroom」
ロバート・ソンガー 「Lesson Planning vs Lesson Design」
[一般教科]
ルーカス・ダミーコ「Evolving Speaking Tests with Realia」
ジェームス・グリーン「Making Original Student Video Shorts」
セラ・フォーブス「Speak Up! Strategies for Getting Students Talking」
イアン・スティーブンソン「ABC:Activities to Build Confidence」
ドゥーガン・ヒンチー「Life after Movies with Comic Life」
クァン・セホアン「The Way of Council」
ドリーン・ゲイロード「Rethinking Handouts」
FDの詳細はこちら
(日本語)fd_meeting_jp.pdf
シンガポール理工学院から講師を招きCDIOを学ぶ講演会を開催しました
9月24日(金)、提携校であるシンガポール理工学院の工学科教員、チー・シ・モー、ソー・キム・ファイの両氏を講師に招き、「CDIO」と「デザイン・シンキング」の2つをテーマにした講演会を金沢高専合同講義室で開催しました。講演会には金沢高専の全教職員と、金沢工大からも副学長2名ほか約30名が出席しました。
「CDIO」とは、Conceive,Design,Implement,Operate(思いつく、設計する、実行する、運営する)の略で、1990年代後半にアメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)が考案した技術者養成のための教育プログラムです。25カ国50の大学など高等教育機関が教育のフレームワークとして採用しています。また、 「デザイン・シンキング」とは創造性を生み出すための方法論で、世界的デザイン・コンサルティング企業であるIDEO(アイディオ)やスタ ンフォード大学など、多くの企業や大学が実践している探求のプロセスです。シンガポール理工学院では2つのプログラムを実践し、産業界から本当に求められている人材の育成に力を注いでいます。講演ではCDIOとデザイン・シンキングの概要や、同校で実際に行っている授業内容が紹介され、具体的な取り組みの流れなどがわかりやすく説明されました。 講演前に夢考房や工学設計棟、やつかほリサーチキャンパスなどを見学した両氏は、「金沢工大学園にはすぐにでもCDIOを実践する環境が整っている」と金沢工大学園の教育環境を賞賛しました。
講演終了後には参加者から多くの質問が寄せられ、世界的に注目を集める新しい教育プログラムへの関心の高さがうかがわれました。
シンガポールとのテレビ会議で「ホリスティック教育」について学びました
7月7日(水)、シンガポール理工学院とテレビ会議システムをつないで研修会を実施し、教員とニュージーランドに留学経験のある学生2名が出席しました。今回は同学院で取り入れている「ホリスティック教育」というプログラムについて話を聞きました。
ホリスティック教育とは、地域社会や自然と関わり、他者への思いやりや社会性を身に付けることで、人生の目的や意味を見出し、命への尊厳と学ぶことに対する喜びを引き出していく教育方法です。
シンガポール理工学院では、学生の社会性や自己実現力を養うため、河川の清掃など、海外でのボランティア活動を授業に取り入れているとのことでした。金沢高専でも学生の人格形成は最も力を入れている分野の一つであり、今回の発表は今後の教育内容に大いに参考になるものでした。
TV会議でライニアソン講師が発表
6月8日(火)、シンガポール理工学院とテレビ会議を開き、機械工学科のアナスタシア・ライニアソン講師が『Rochester Institute of Technology ーDesign coursework in the Kate Gleason College of Engineering and B. Thomas Golisano College of Computing and Information Sciences 』と題し、アメリカ・ロチェスター工科大学で行われている教育プログラムについて紹介しました。
ロチェスター工科大学は、 ニューヨーク州にある工科系の総合大学で、ライニアソン講師の出身校でもあります。学生自らが考え、設計し、実際に製作する授業「工学設計」を早くから実施し、ものづくりの力を高める教育を取り入れており、金沢高専の創造実験・創造設計のお手本にもなっています。
また、企業にとって有用な人材を育成する大学としても有名で、長期インターンシップを行うことで非常に高い就職率を維持していることも紹介されました。
自らの体験を踏まえたライニアソン講師のプレゼンテーションは説得力があり、実践的な技術者の育成を目指す金沢高専とシンガポール理工学院双方にとって、参考になる情報が多く含まれた発表でした。
シンガポール理工学院とテレビ会議を行いました

4月26日(月)、金沢高専Eラウンジとシンガポール理工学院とをテレビ会議システムをつなぎ、金沢高専の教員らがシンガポール理工学院のCDIOへの取り組みについて話を聞きました。
CDIOとは、Conceive,Design,Implement,Operate(思いつく、設計する、実行する、運営する)の略で、1990年代後半にアメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)が考案した技術者養成のための教育プログラムです。
技術者に必要な技術や態度、自発性、創造性、工み、リーダーシップ、動機づけ、チームワークを身につけ、企業や現実の社会で即戦力となる人材の育成を目的とし、シンガポール理工学院をはじめ、世界各国の大学など高等教育機関で導入されています。
今回の会議では、シンガポール理工学院のピー先生に、具体的な取り組み内容を説明してもらいました。
CDIOは金沢高専の教育理念と共通する部分も多く、会議で得られた知識と情報は、今後の教育・指導に活用していくことができそうです。