本取組は、金沢高専の建学理念『高邁な人間形成』の具現を目的とするキャリアデザイン教育の実践により、学生が、授業や課外活動で得た知識あるいは経験を統合し自身のキャリア形成につなげようとするものです。
同教育は、学生を社会に結びつける重要な役割を担っており、自己理解を深め、就職を人生という広い文脈のもとで考え、自己実現へ向けて行動する力を育成します。
具体的には、1年次より段階的に職業観の向上を図るため、多くの効果的な体験機会を提供し、そこで得た知識や経験をキャリアデザインノートおよび教職員との面談により論理的に整理してゆくことを通じ学生の自信と主体性を育みます。学生は、自ら進路を選択しそれに向かい積極的に行動できるようになることを目標とします。
本取組では、職業観およびエンプロイアビリティの育成を図るキャリアデザイン教育を実践します。同教育に関する具体的内容は次の通りです。
キャリアデザインの手法を取り入れ、学生が整理しやすく、かつ教職員との面談や省察に利用しやすいノートを開発し運用する。
キャリアデザインノートは、中学校を卒業したばかりの1年次より段階的に職業観を身につけられるものを目指す。
金沢高専では、毎年夏期休暇を利用し4年生全員がインターンシップに参加している。インターンシップは、単なる就業体験ではなく、これまで学習した知識や技術を社会の場において生かせるかどうかを学生自身が自己点検し、残りの学生生活で何を目標とし何を学習していくかを明確にする良い機会となっている。しかし、企業側のメリットが薄いことおよびこの不況により、受入企業の確保が難しくなっている。
そこで、進路指導委員会が中心となり企業を訪問し、次年度のインターンシップ受入れ先および就職先の開拓を行う。
学生の企業現場に対する理解や職業観の醸成を目的に、10・11月に1~4年生の工場見学を実施する。
現場を見たり、働く人の話を聞くことにより、「やりたい仕事」「なりたい自分」を考える機会を与え、学生が自ら進路選択できる力を育成する。
毎年11月に実施される4年生の合宿研修にて、卒業生等を講師とする講演、面談等を行う。また、合同企業説明会を開催し、業種・職種、企業の魅力等を具体的に知る機会を提供する。
キャリアデザイン教育は、すべてを学生任せにすべきではなく、また、子ども扱いや押しつけといった、行き過ぎた指導にならないよう注意し、学生の卒業後の成功までを考え、本人が気づく機会や助言・指導が行える機会を効果的に設けていくことが大切になる。そこで、FD※の一環として有識者によるキャリア研修会を開催し、教職員のキャリアカウンセリング能力向上およびキャリアデザイン教育の浸透を図る。
ホームページにて本取組を紹介し、パンフレットを工業高校、高等専門学校、大学等へ送ることにより、本取組の内容、過程、成果等を積極的に発信していく。また、3月の「教育成果発表会(公開発表会)」にて実施状況等を発表する。さらに、キャリアデザインノートをホームページに掲載しダウンロードできるようにする。