2010年12月の記事
MITが考案した世界的工学教育CDIOに 金沢高専が加盟しました
12月5~9日にオーストラリア・シドニーで開催された"2010 Fall CDIO Collaborators' Meeting"に金沢高専が参加し、CDIOのメンバー校に選ばれました。
現在CDIOには、26カ国50校(MIT、デューク大学、ミシガン大学、パデュー大学、ブリストル大学、リーズ大学、リバプール大学、シドニー大学、オークランド大学、清華大学、DTU、KTHなど49の大学と、金沢高専の協定校であるシンガポールポリテクニク)が加盟しています。 今回審査を受けた3校の内、金沢高専と南洋ポリテクニク(Singapore)の2校がCDIOの新メンバーとして迎えられることとなり、金沢高専は、日本で最初の加盟校となりました。
1990年代後半、知識偏重の工学教育が世界中の大学で行われていました。そのため、企業や社会からは、技術者に必要な技術や態度、自発性、創造性、技能、リーダーシップ、動機づけ、そしてチームワークなどを身につける教育の重要性を求める声が強まっていきました。それに応えてMIT(マサチューセッツ工科大学)とスウェーデンの3つの大学が協力し考案した工学教育がCDIO(シーディーアイオー)です。 CDIOとは、「Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(運営する)」 の頭文字をとって名づけられました。次世代のエンジニアを育成する革新的教育のフレームワークとされ、現実のシステムや製品開発における工学の基礎教育を学生に提供するものです。
2000年10月、CDIO Initiativeと呼ばれる工学教育改革を目的とする国際プロジェクトがスタートしました。CDIOの実用的ガイドが作成され、世界各地で半年毎にシンポジウムを開催し、内容の充実が進められたことにより、CDIOはグローバルな工学教育として発展しました。
現在、金沢高専では、CDIOが求めるプロジェクト型の創造教育並びにリーダーシップやチームワークを育む人間力教育を行っており、今後、カリキュラムにCDIOを織り込むことで、技術者に必要な能力をより統合的かつ体系的に学ぶ教育が可能になります。 また、グローバル化に対応する技術者育成を目指し、専門科目に6名、英会話科目に7名、計13名の外国人教員を採用し工学・英語協同学習も実施しています。 今回、世界の高等教育機関により構成されているCDIOのメンバーとなることで、世界の工学教育を参考にする、或いはベンチマークに用いるといったことが容易になり、工学・英語協同学習をさらに発展すると考えられます。
さらに、CDIOは、高専教育本来の目的である“体験重視型の専門教育による実践的・創造的技術者の養成”と軌を同じくするものであり、高等専門学校はもとより、実践的工学教育を目指す大学とっても大いに参考になるものと考えられます。
金沢高専は、CDIOのメンバーとして工学教育改革に貢献していきます。
CDIOのウェブサイト